[3日 ロイター] - 年明けの米株式市場では大型ハイテク株が大幅な上昇をけん引してきたが、2日発表のハイテク決算は市場に「ペースが速すぎる」と警鐘を鳴らしたと言える。
2日発表されたアップル、アルファベット、アマゾンの10─12月期決算は、いずれも芳しい内容とは言えず、世界経済や金利上昇に対する懸念が改めて浮上した。1月のマーケットが先走り過ぎたのではないかとの声が出ている。
アップルの10─12月期決算はiPhone販売の減少と中国の生産混乱で市場予想に届かなかった。アマゾンは需要低迷で今期の営業利益が減少する恐れがあると表明。アルファベットはデジタル広告事業が振るわなかった。
3社の株価は決算発表後の時間外取引で軒並み下落。3日の株式市場の重しになるとみられている。
シノーバス・トラスト・カンパニー(ジョージア州)のシニアポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏は「おそらくハイテク株は決算発表を控えて少し上昇し過ぎた。投資家は『こうした銘柄も万能ではない』と深いため息をつくだろう」と述べた。
今年は、この3社とマイクロソフトがS&P総合500種指数の上昇を主導してきた。同指数は年明けから9%近く上昇。アマゾンは34%は値上がりしている。2日もメタ・プラットフォームズの好決算を受けて大手ハイテク株が急伸していた。
<明るい兆しを指摘する声も>
アップル、スターバックスなど2日発表の大手企業の決算については、明るい兆しも指摘されている。多くの企業の中国販売が落ち込んだのはロックダウン(都市封鎖)が原因で、今年は回復を期待できるとの見方だ。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はロイターのインタビューで「(中国で)12月に経済活動が再開され始めると、11月に比べて店舗への来客数が増え、需要も増加した」と発言。中国のロックダウンが生産と需要の双方に悪影響を及ぼしたほか、ドル高も収益を圧迫したと語った。
ラファー・テングラー・インベストメンツのナンシー・テングラーCEOは「為替が逆風だったが、第1・四半期には追い風になる」と、ドルの下落傾向を指摘。「需要よりもサプライチェーンが大きな問題だったが、この問題は緩和したようだ」とも述べた。
スターバックスも、中国の既存店売上高が29%減少したが、客足は1月に回復し始め、「非常に心強い」回復の勢いが見られると指摘している。
他の大手消費財メーカーの見通しはまちまちだ。家庭用品のクロロックスは4事業部門のうち3部門で第4・四半期の販売数量が減少。自動車大手フォードは、今年は厳しい年になるとの見通しを示した。
こうした企業は、金利上昇による需要鈍化への対応を引き続き迫られている。アルファベットやメタのコスト削減策についても、金利上昇による需要低迷が背景との指摘が出ている。
クレセット・キャピタルのジャック・エイブリン最高投資責任者は「さまざまな点で、金利上昇が経済・インフレ・業績・雇用にどう影響するかが懸念されている。翌日物金利がピークを付けた9カ月後に業績が底入れする傾向があるが、ピークはまだ見えていない」と述べた。