[ロンドン 12日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は12日、最近の銀行部門の混乱について、世界的な金融危機後にFSBが導入したルールにより混乱の波及が回避されたとする一方、見通しは厳しさを増しており、警戒を維持するとした。
FSBは2007─09年の金融危機後、銀行の資本増強や迅速な破綻処理に関するルールを議論した。
FSBのクノット議長(オランダ中央銀行総裁)はG20財務相・中央銀行総裁会議に宛てた書簡で、先月の米シリコンバレー銀行の破綻やスイスのUBSによるクレディ・スイス買収ではG20の金融改革の成果が問われたと指摘。
スイス、米国当局などの「迅速かつ効果的な」行動で国際金融の安定を保つことできたとし「こうした改革がなければ、個別行が直面したストレスが金融システム内に波及していた可能性があった」と述べた。
同議長は、金融安定の見通しは厳しさを増しており、金融当局が教訓を学び教訓を基に行動する必要性が「以前にも増して高まっている」と指摘。
FSBは、高水準の負債、低金利を前提としたビジネスモデル、過大な資産評価、ノンバンク金融機関のレバレッジと流動性のミスマッチの組み合わせに関連する脆弱性を強調してきたとした。
同議長は、こうした脆弱性は金利上昇と景気減速の影響を受けやすいとし「したがって当局は今後の見通しを引き続き警戒すべきだ」と述べた。