
Takahiko Wada
[大阪市 25日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は25日の記者会見で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃やマイナス金利の修正を判断する際に、賃金上昇率が重要になるものの、総需要の状況や見通しなどさまざまな事項の「総合判断」になると述べた。
政策修正の判断時期に関しては、前もって言うことはできないとの見解を改めて示した。
植田総裁は22日の会見で、物価目標の実現には「強い総需要に支えられたもとで、賃金と物価が好循環を続ける姿が確認できることが必要」と述べていた。この日の会見では「内需の消費や投資が弱いもとで賃金・物価の好循環が続いていくというのはなかなか考えにくい」と説明した。
植田総裁は、さまざまなデータの中で賃金上昇率の動きを重視していると述べる一方、「賃金上昇率が一時的に高くなったからと言って、賃金の持続性や安定性を判断するには総需要がそのときにどうなっているのか、この先どうなっていくのかということも含めて見ないといけない」と話した。
2%物価目標の持続的・安定的な実現の見通しが立った場合には「YCCの撤廃も視野に入る」とする一方で、現在ゼロ%としている10年金利の誘導目標を含め、現時点で近い将来、YCCをどう変えていくかやその条件について明確なイメージを持っているわけではないと述べた。
物価目標の達成までまだ距離があるものの、今後、仮に物価目標達成の見通しが出てくれば金融政策を変更をしていく可能性が出てくると話し、「そうなればたいへんな仕事になる」と語った。
<賃金の継続性、「きわめて重要」>
記者会見に先立つ大阪経済4団体共催懇談会で、植田総裁は賃金上昇の持続性の重要性を強調した。
2%物価目標の実現のためには賃金上昇が継続していくことがきわめて重要だと指摘。「今年の春闘で示された賃上げの動きが今後さらに強まっていくのかという点にも注目している」と述べた。関西経済界の出席者からは、賃上げの持続性を巡り生産性向上を目指して「人への投資」に取り組んでいるとの声が聞かれた。
植田総裁は懇談会冒頭のあいさつで、「一部ではあるが、将来の賃金コスト等の上昇を見越して、販売価格をあらかじめ引き上げるというフォワードルッキングな価格設定の動きが出てきている」と述べた。
ただ、企業の賃金・価格設定行動の一部に変化が見られ始めているものの、先行きこうした変化が広がっていくのか「不確実性がきわめて大きい」との見方を示した。賃金上昇を伴う形で2%物価目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、現在のイールドカーブ・コントロールの枠組みによる金融緩和を粘り強く続けていく必要があると述べた。
(和田崇彦 編集:石田仁志、田中志保)
本当に%USER_NAME%をブロックしたいですか。
ブロックすると、あなたと%USER_NAME%はお互いのInvesting.comへの投稿を見ることができなくなります。
%USER_NAME%は無事ブロックリストに追加されました
この人のブロックを解除したばかりなので、再度ブロックするには48時間待つ必要があります。
このコメントについて下記のように感じます
ありがとうございます!
報告は、確認のため管理担当に送られました
意見を投稿する
他のユーザーと交流したり、あなたの見通しを他の人と共有したり、筆者に質問するにはコメントを使うことをお勧めします。
我々みんなが高いレベルの議論を維持するために以下の事を心に留めてください。
スパムや乱用の加害者は、サイトから削除され、Investing.comの裁量により今後の登録が禁じます。