Hadeel Al Sayegh Rachna Uppal
[リヤド 24日 ロイター] - サウジアラビアの首都リヤドで開幕した国際投資会議「未来投資イニシアチブ(FII)」では、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突で多数の死傷者が出る中、大手金融機関のトップが経済に悲観的な見方を示した。
会議では人工知能(AI)、戦争の経済的影響、金利上昇に伴う債務増大などを議論。
米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク会長兼最高経営責任者(CEO)は「こうした問題が解決されなければ、恐らくグローバルなテロが増える。そうなれば不安が広がり、社会が恐怖に見舞われ、経済が収縮する」と発言。
フィンク氏が出席したパネル討論には、米金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEO、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO、シティグループのジェーン・フレーザーCEOが参加。職場での女性の地位や金利上昇の影響について協議した。
ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏は自分は悲観的だと発言。「今後の金融政策などは、世界により大きな影響を与えるだろう」とし「世界の格差を見ていると、その点について楽観的になるのは難しい」と述べた。
HSBCグループのノエル・クインCEOも、重い政府債務のリスクを警告。「財政赤字の臨界点を懸念している。来る時は一気に来るだろう。世界には臨界点が来る可能性のある経済がたくさんあり、大きな打撃になるだろう」と述べた。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、サウジとイスラエルの正式な関係構築に向けた米国主導のイニシアチブを放棄しないよう呼びかけた。さらに「中東のために、サウジがリーダーシップを発揮することがそれを実現するための唯一の方法だ」と強調した。
世界銀行のバンガ総裁は、地政学的な緊張が世界経済にとって最大のリスクとなっているが、リスクは急速に変化する傾向があるため、他のリスクも無視できないと述べた。
今後のビジネスについて、ゴールドマンのデイビッド・ソロモンCEOは、ディールメーキング拡大の可能性に言及。投資会社ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン会長兼CEOは、コロナ禍以降拡大しているオフィスビルの空室をリスク要因として指摘した。
明るい見通しも示された。プライベートエクイティ(PE)のカーライル・グループのハービー・シュワルツCEOは「地政学的リスクを見極めるのは非常に難しいが、それを評価に取り入れる必要がある」とした上で、「今後1年は信じられないようなチャンスが訪れる」という認識を示した。
金融機関首脳らはまた、インドやベトナム、インドネシアなどの新興市場や、ヘルスケア、エネルギー、再生可能エネルギーなどの分野における好機の可能性を指摘。長期的には、AIが商機をもたらすという点で一致した。