■今後の見通し1. 2019年12月期の業績見通しSBSホールディングス (T:2384)の2019年12月期の連結業績は、売上高で前期比22.8%増の250,000百万円、営業利益で同9.2%増の9,000百万円、経常利益で同10.4%増の8,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.9%増の4,800百万円となる見通し。
売上高、営業利益は連続で過去最高を更新、経常利益も13期ぶりに過去最高を更新することになる(当期純利益は2016年12月期の5,111百万円が過去最高値)。
SBSリコーロジスティクスの業績上積み分として売上高で約365億円、営業利益で約4億円と前下期とほぼ同程度の水準で計画に織り込んでいるものと見られる。
同要因を除いた既存事業の売上高を試算すると前期比6%増となり、営業利益については前期に計上したM&A費用3億円がなくなることも考慮すれば、ほぼ横ばい水準で計画していることになる。
不動産事業の減益分を物流事業の増益でカバーする格好となる。
ただ、全体的には保守的な印象で、利益ベースでの上振れ余地があると弊社では見ている。
なお、上期の会社計画については売上高で前年同期比60.7%増の124,000百万円、営業利益で同105.3%増の4,800百万円と大幅増収増益の計画となっている。
これはすでに発表されている通り、2019年3月に「長津田物流センター」の信託受益権を一部(30%)譲渡し第1四半期の不動産事業の営業利益に約24億円計上するとともに、物流事業においてSBSリコーロジスティクスの業績が上積みされることによるものと考えられる。
不動産事業の減益を物流事業の増益でカバーする見通し2. 事業セグメント別見通し(1) 物流事業物流事業の売上高は前期比24.5%増の234,800百万円、営業利益は同14.8%増の5,250百万円となる見通し。
売上高のうち、SBSリコーロジスティクスを除いたベースでは前期比で6%程度の増収増益を見込んでいると試算される。
引き続き3PLの新規案件の獲得や大手EC宅配事業の拡大が増収要因となる。
売上高の内訳を見ると、国内物流事業は前期比21.1%増の217,200百万円、うち3PL事業で同27.0%増の112,900百万円となり、海外売上高は同41.5%増の8,500百万円を見込んでいる。
また、大手ECの宅配事業については2019年12月期も大幅増収が続く見通し。
SBS即配サポートが首都圏エリアを中心に展開しているが、2019年はグループ各社でも展開し、対応エリアを拡大していく予定。
そのほか、BtoBの配送事業についてもグループへ水平展開し、サービス対象地域を拡大していく計画となっている。
SBSリコーロジスティクスの東名阪の幹線及び地域配送網を活用することを想定しており、まずは名古屋地域への進出を開始する。
利益面では、引き続き人件費や傭車費・外注費の増加、燃料費の上昇等の減益要因を、料金の適正化や物流現場での省力化(自動走行台車やITツールの導入による生産性向上)、営業活動の効率化(インターネットを活用した見込み顧客の獲得、CRMシステムの活用等)を推進していくことでカバーしていく計画となっている。
なお、軽油価格の前提は104.5円/L(前期は92.5円/L)だが、年明け以降は想定を下回るペースで推移している。
(2) 不動産事業不動産事業の売上高は前期比4.6%減の7,800百万円、営業利益は同6.7%減の3,650百万円となる見通し。
このうち、開発事業は前期と同様、「長津田物流センター」の信託受益権の一部譲渡(30%)を実施し、前期比横ばい水準の見込みとなっている。
残り40%部分については2020年12月期以降に譲渡する計画となっている。
一方、賃貸事業は「長津田物流センター」の一部売却の影響により、売上高で前期比14.1%減の2,400百万円、営業利益で同17.5%減の1,250百万円と減収減益で見込んでいる。
(3) その他事業その他事業の売上高は前期比10.2%増の7,400百万円、営業利益は同9.9%増の300百万円となる見通し。
人材事業については、グループ内での活用を進めていくことで損益の改善を目指しているが、課題は人材の採用にある。
2018年にオフィスを移転するなど採用環境の改善を図っており、その効果が2019年にどの程度出てくるかがポイントとなる。
また、マーケティング事業はECサイトでのペット商品販売増が続くほか、アパレルECサイトの稼働によって増収増益を見込む。
太陽光発電事業も増収増益となる見通し。
「大阪南港物流センター」に設置された約1.5MWのソーラーパネルが稼働することで、グループ全体の発電能力が前期の9.5MWから約11MWに拡大するためだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)