[東京 26日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、底堅く推移する見通しだ。ギリシャの金融支援問題や、利上げ時期の見方に左右される米国市場の方向性など外部要因は不透明。欧米株に調整色が強まれば、日本株も一時的に軟調な局面を迎えそうだ。ただ国内では円安基調を背景とした企業業績への期待感は根強く需給も良好。下値は限定的となる見込みで、ファンダメンタルズや流動性に裏付けられた「適温相場」への意識が下支えとなるとみられている。
日経平均の予想レンジは2万0200円─2万1000円。
東京市場では24日、日経平均株価が2000年4月のITバブル期高値を突破し、約18年半ぶりの水準にまで回復した。18日に2万円を割って以降、急ピッチで株価は上昇。25日以降は売りに押されたものの、終値ベースで今週1週間の上げ幅は531円91銭となり、今年2番目の大きさとなった。
一方、欧米市場ではギリシャへの金融支援協議の方向性が重荷となっているほか、米連邦準備理事会(FRB)幹部による年内2回の利上げ発言も株式市場に動揺を与えつつある。
来週末の7月3日は米国市場が休場となる。注目される6月米雇用統計は2日の木曜日に発表される予定だ。公表日に近づくにつれ、市場に様子見ムードが広がる展開が予想されている。半面、ギリシャ協議は予断を許さない状況が続いている。仮にデフォルト(債務不履行)に向えば日本株も「一時的な調整も想定される」(国内証券)との見方もある。
パインブリッジ・インベストメンツの前野達志・執行役員グローバル・マルチアセット運用部長は「ギリシャの問題が仮に解決したとしても、次にはFRBの利上げの時期をめぐる思惑で市場が揺れることも予想されており、強気にはなりにくい」と話す。当面は上値追いには慎重にならざるを得ない地合いが続きそうだ。
ただ株価の下落局面では日銀のETF(上場投信)買いのほか、国内外の投資家による押し目買いの動きが期待されている。「バリュエーション面では日本株はかなり高いところまで来たが、国内においては売り材料がない」(中堅証券)といった声も聞かれる。国内景気や企業業績への期待感も根強く、引き続き下値の堅い動きが想定されている。
もっとも「米国の利上げを受け新興国通貨安が進行すれば、資源国・経常赤字国の景気動向が懸念されるようになる」(明治安田アセットマネジメントの小泉治・取締役執行役員)との声もある。新興国経済が悪化すれば、海外展開をする日本企業の業績に一定の悪影響を及ぼしかねない。直近の日本株をけん引してきた内需株の一角には割高感もみられており、4─6月期決算発表が本格化する7月後半までは、こう着感の強い展開が続くとも予想されている。
来週は国内では29日に5月鉱工業生産指数、1日に日銀短観が発表される。海外では6月米雇用統計のほか、30日に6月ユーロ圏消費者物価指数、1日に6月米ISM製造業景況指数とADP雇用統計、6月中国製造業PMIが発表される。
(株式マーケットチーム※)