[東京 11日 ロイター] - 前場の東京株式市場で日経平均は、前営業日比192円34銭安の2万6793円46銭と、反落して午前の取引を終えた。前場中盤ではプラス圏に浮上する場面があったが、心理的節目の2万7000円回復後は利益確定売りに押され、再びマイナス圏に転落した。米長期金利が上昇する中、ハイテク株安となった米市場の動向を嫌気したほか、このところのアジア株の軟調な値動きも重しとなった。
前週末の米国株式市場は、不安定な地合いの中、ダウ工業株30種が上昇した。米10年債利回りが3年ぶりの高水準を付け、銀行株が回復した。一方、S&P総合500種とナスダック総合は下落した。
日経平均は前週末の米ナスダック安が嫌気され、108円安と反落スタート。その後はプラス圏に浮上し18円70銭高の2万7004円50銭で高値をつけたが、アジア市場での軟調な展開を受け再びマイナス圏に転落した。
市場では「上海でのロックダウン(都市封鎖)やウクライナ情勢などの懸念材料がある中で決算シーズンが始まり、積極的に買いづらい。ただ、25日移動平均線(2万6800円近辺)近辺では押し目買いも入り、下値は堅い」(東洋証券・大塚竜太ストラテジスト)との声が聞かれた。
TOPIXも反落し0.61%安の1885.18ポイントで午前の取引を終了。東証プライム市場の売買代金は1兆1754億9700万円だった。東証33業種では、精密機器、電気機器、情報・通信業などの18業種が値下がり。半面、電気・ガス業、鉱業、銀行業などの15業種が値上がりした。
個別では、前週末8日に企業決算を発表した安川電機が2.31%安。朝方は続伸スタートとなったが、その後マイナス圏に沈んだ。2023年2月期通期(国際会計基準)の連結営業利益は720億円と前期に続き最高益を更新する見込みだが、市場では「やや楽観的な予想かもしれない」(国内証券)との指摘があった。
そのほか、東京電力ホールディングスが12.82%高で年初来高値を更新。東証プライム市場の値上がり率トップとなった。8日、岸田文雄首相が懸念される日本のエネルギー不足の可能性について「再生エネルギーや原子力など脱炭素の効果の高い電源を最大限活用する」と述べたことなどが手掛かりとなった。レノバ、ウエストホールディングス、イーレックスなどの再生可能エネルギー関連の一角もしっかりだった。
そのほか、リクルートホールディングス、オムロン、テルモが軟調。アステラス製薬、第一三共は買われた。
プライム市場の騰落数は、値上がり463銘柄(25%)に対し、値下がりが1333銘柄(72%)、変わらずが43銘柄(2%)だった。