経済産業省は4月5日、「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会報告書」を公開した。
同資料はブロックチェーン技術を活用したコンテンツに関するサービス・アプリケーションに必要となる基礎的な機能について、調査・検討を行ったものだ。
検討にあたっては、音楽のn次創作(あるコンテンツを元に別の新たなコンテンツを創作すること)を発信・視聴するプラットフォームとして、原コンテンツとn次コンテンツの制作者の権利関係の記録や利用者からの支払対価の分配を行うサービス・アプリケーションを題材に議論したという。
同資料では、検討の概要として「UGC (制作したコンテンツ)における寄与者への利益配分の仕組み」を解説している。
まず、現在は情報技術の発展により、これまでプロのクリエイターのみが行っていたコンテンツの制作は、誰でも簡単に行えるようになり、また、誰でも自由に世界に発信できる環境にあることを説明している。
続けて、このような制作活動は特定のコミュニティのなかでコミュニケーションのひとつとして行われているのが一般的であり、その制作や利用に対する対価や利益分配は発生していないのが現状であると指摘。
このため、こうした制作活動によるコンテンツの流通をマネタイズ(商品化)することが日本のコンテンツ産業の拡大に資するものであるとの見解を述べている。
加えて、UGCに触発されて新たなコンテンツが制作されることもあるほか、広告代理店などを通じなくても個人のSNS上での評価や拡散などもコンテンツの価値の向上に貢献することがあると説明している。
このように、コンテンツの取引環境が、作り手と受け手が公平に制作・利用する立場にあることから、参加者全員の善意による流通促進が自律的に図られる構造になっているとして、この構造を踏まえ、『価値の創出に関わった人々皆がその寄与度に応じた対価を受けることができるという世界観をつくることによって、こうしたコンテンツをマネタイズすることが可能ではないか』と提案している。
こうした点から、同検討会では、分散型台帳として取引・記録・検証をシステム内の皆で運営・管理するブロックチェーン技術に着目したとしている。
検討の題材として、n 次創作において、そのコンテンツの著作権者に加え、制作に寄与した者のほか、例えば制作に際してインスピレーションを受けたと制作者が考える者や、そのコンテンツの価値創出に貢献したと制作者が考える者に対して、利益分配が行われる仕組みを検討したようだ。
なお、同検討に関連して、4月前半に、コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(平成30年度二次補正予算)において措置した、ブロックチェーン技術を活用したコンテンツの流通に関連したシステムの開発に対する補助金の公募開始を予定していると伝えている。