■中長期の成長戦略2. 成長戦略1:「中小企業向け総合ブランディングでの差別化」ブランディングテクノロジー (T:7067)の最大の差別化要因は、大手広告代理店などが参入しづらい中小企業を対象としていることと、そこに対してブランディング支援を総合的に展開していることの2つだ。
これらの強みをさらにブラッシュアップすることで成長実現を図ることが、成長戦略の第1となっている。
キーワードの1つ目は“総合ブランディング”だ。
これは独自戦略「ブランドファースト」のコンセプトのもと、企業と商品が連動したブランディングであることはもちろん、優秀な人材獲得のための採用ブランディングの提案、識学 (T:7049)との事業提携に基づく組織力強化の提案などを通じて、顧客企業の成長とともに同社自身の収益拡大を狙うものだ。
2つ目は“タレントキャスティング”だ。
これは大手企業では一般的な、“イメージキャラクター”としてのタレントの起用を、中小企業においても広める取り組みだ。
予算規模が違うため、有名タレントの起用は難しいと考えられるが、大手プロダクションとの直接契約や地域タレントの活用などの施策によって、中小企業にも利用可能な価格帯での提案を強化する方針だ。
3つ目は“連携”だ。
2020年3月期の4月から11月までの8ヶ月間で、同社は5件の事業提携を発表した。
その中身は、新規顧客開拓を目指した営業上のものと、ソリューションメニューの拡大を目指した技術やソリューションの連携とに分けることができる。
同社が特に期待しているのは、新規顧客開拓を目指したもので、なかでも地銀の福邦銀行との提携には大きな期待を寄せている。
これは同社だけにメリットがあるわけではなく、地銀の側にも顧客企業の成長や地域経済の活性化というメリットが期待される。
福邦銀行との取り組みは始まったばかりでまだ評価する材料はないが、ポテンシャル(例えば他の地銀との連携への拡大など)は大きいと同社では期待している。
顧客の成長を支援して顧客の予算・取引額の増大を図り、自社の成長につなげる3. 成長戦略2:「ミドル・アッパーの顧客層を拡大」この戦略は、中小企業を対象とするなかでも、その顧客の企業規模を引き上げようとするものだ。
ここで言う企業規模とは、同社との取引金額のことを意味しており、顧客の資本金や広告宣伝費予算で区分しているわけではない。
ただし、そこにはある程度の相関関係を認めることはできるだろう。
こうした取り組みは、事業の効率性を高めようとすれば当然のことと言えるだろう。
問題は具体的な方法論であるが、ここで重要になってくるのが、「フロント人材」と呼称する同社の専任担当者だ。
フロント人材の定義や求められる資質等は、今後の同社の戦略によって変わってくると見られるが、現状では提案営業を行う営業担当者というのが実像に近いようだ。
成長意欲の高い中小企業に前述の総合ブランディングを提供し、収益拡大につなげるというのがこの成長戦略の本質だ。
ポイントは、規模の大きい企業を開拓するのではなく、顧客を育成することでスモール⇒ミドル⇒アッパーとステップアップするという点にある。
フロント人材には、顧客に成長のためのアドバイスを行う、言わば講師役/コンサルタントの機能を果たすことが求められる。
こうした取り組みは、人材育成も含めて一定の時間を必要とするが、順調に進捗すれば同社は優秀なフロント人材を数多く抱えることになり、成長の大きな原動力になると期待できる。
人材育成の重要性と難しさは同社自身が深く認識しているところであり、後述するように、成長戦略の4番目の項目に取り上げている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)