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KeyHolderは底打ち、22年12月期予想非開示だが収益改善基調

発行済 2022-04-07 08:56
更新済 2022-04-07 09:05
© Reuters.  KeyHolderは底打ち、22年12月期予想非開示だが収益改善基調

 KeyHolder<4712>(東証スタンダード)は総合エンターテインメント事業を展開し、映像コンテンツ業界におけるコンテンツサプライヤーおよびコンテンツホルダーとしての成長を目指している。22年12月期連結業績予想はコロナ禍の影響を合理的に算定することが困難なため非開示としているが、コロナ禍の影響が徐々に和らいで収益改善基調だろう。株価は3月の安値圏から急反発して底打ち感を強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。

■総合エンターテインメント事業が主力

 17年10月に旧アドアーズが持株会社に移行して商号をKeyHolderに変更した。その後、M&Aも積極活用して事業ポートフォリオを再編した。

 従来の主力だったアミューズメント施設運営事業と不動産事業・商業施設建築事業をグループアウトした一方で、20年8月に映像コンテンツやライブコンサートなどのトータルプロデュース事業を行うノース・リバーを連結子会社化、アイドルグループ「乃木坂46」を運営する芸能プロダクションの乃木坂46合同会社(ノース・リバーが持分50%保有)を持分法適用関連会社化した。また20年12月にJトラスト<8508>が保有する当社株式の一部を、ミクシィ<2121>が設立したミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合など5社に譲渡し、Jトラストの持分法適用関連会社となった。

 21年12月期のセグメント別構成比は、売上収益が総合エンターテインメント事業60%、映像制作事業26%、広告代理店事業11%、その他2%、利益(調整前営業利益)が総合エンターテインメント事業80%、映像制作事業9%、広告代理店事業15%、その他▲3%だった。

 現在は、アイドルグループ「SKE48」や「乃木坂46」などの管理・運営を行う総合エンターテインメント事業(ライブ・エンタメ部門、スポーツ部門、スクール部門、デジタル・コンテンツ部門)を主力として、バラエティ番組・テレビドラマ・映画製作などを行う映像制作事業、大手CVSチェーンにおける販促企画を提供する広告代理店事業を展開している。

 22年1月時点の主要グループ会社は、女性アイドルグループ「SKE48」や男性5人組バンド「Novelbright」等をマネジメントするゼスト、アイドルグループ「乃木坂46」運営の乃木坂46合同会社(50%出資の持分法適用関連会社)、乃木坂46合同会社に係る事業等トータルプロデュース事業のノース・リバー、21年8月にノース・リバーから分割した車両サービス事業のエーカンパニー、各種イベント企画・運営や専属モデルマネジメント等のホールワールドメディア、エンターテインメントコンテンツ企画・開発・制作およびYoutube向けデジタル広告制作・運用等のFA Project、広告代理店事業やデジタル・コンテンツ事業および旧新宿アルタスタジオ「KeyStudio」運営等のallfuz、テレビ番組・映画などの映像制作および制作人材派遣のUNITED PRODUCTIONS(旧ワイゼンラージ)、プロの映像制作者向け機材・設備の管理・レンタルおよび映像編集技術を提供するポスプロ事業のTechCarry(旧UNITED PRODUCTIONS)などである。

 なお22年1月に、ワイゼンラージがUNITED PRODUCTIONSの映像制作事業を承継し、ワイゼンラージの商号を新UNITED PRODUCTIONSに変更、旧UNITED PRODUCTIONSの商号をTechCarryに変更した。再編後の事業内容は新UNITED PRODUCTIONS(UP)がテレビ番組制作事業、メディ事業、職業紹介・労働者派遣事業等、TechCarryが撮影機材管理・レンタル事業等となっている。

■エージェント構想&ファンクラブプラットフォーム

 総合エンターテインメント事業では、中期展望として「エージェント構想&ファンクラブプラットフォーム」を掲げている。

 20年12月には、第一興商<7458>と資本業務提携(第一興商を割当先とする新株式発行、コンテンツ・マネジメント・ライツ・出版・新サービス関連での業務提携)、および韓国大手芸能事務所エスエム・エンタテインメントの日本法人SMEJの子会社SMEJ Plusと資本業務提携(SMEJ Plusを割当先とする新株式発行、ファンクラブ関連・新規ファンビジネス関連での業務提携)した。

 コンテンツ開発から総合的なマネタイズまでをカバーする体制となり、映像コンテンツ業界におけるコンテンツサプライヤーおよびコンテンツホルダーとして、コンテンツ(アーティスト、タレント、プロスポーツ選手など)の拡充、グループリソースを活用した展開をサポートするためのエージェント機能の強化、媒体・モデルを活用した情報発信などを推進し、グループシナジーによって成長を目指す方針だ。

 21年2月には子会社のallfuzが、フォーサイド<2330>の子会社であるフォーサイドメディアから映像制作事業を譲り受けて事業開始した。

 21年12月には、20年12月に締結したSMEJ Plusとの資本業務提携の進捗状況をリリースした。SMEJ Plusが有するファンクラブの企画・運営ノウハウに対して、アプリ開発およびコンテンツ企画・制作から情報発信、リアルイベントなども含むプロモーション全般に係るリソースを提供することで、韓国からの新規アーティストおよび既存アーティストのファンクラブに向けた付加価値、ならびにリアルコンテンツの開発に係る協議を開始し、新たな展望を見出すこととした。

■22年12月期予想非開示だが収益改善期待

 22年12月期の連結業績予想については、新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染状況を鑑み、計画通りの事業活動の確約が取れないと判断し、現時点でコロナ禍の影響を合理的に算定することが困難なため非開示としている。配当予想は21年12月期と同額の10円(期末一括)としている。

 重点戦略として、総合エンターテインメント事業ではSKE48のグループ若返りとメディアリレーション強化、乃木坂46の10周年LIVE成功、Novelbrightの年末に向けた飛躍、新規所属タレント層の充実化など、広告代理店事業では大型広告企画案件の良好な関係継続、デジタル動画広告の展開など、映像制作事業ではドラマ制作・映画製作における企画内容や意義を見極めたうえでの対応などを推進する方針だ。

 なお22年3月には、保有投資有価証券売却益2億11百万円を第1四半期の金融収益に計上すると発表している。コロナ禍の影響が徐々に和らいで収益改善基調だろう。

■株価は底打ち

 株価は3月の安値圏から急反発して底打ち感を強めている。週足チャートで見ると抵抗線だった13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線突破の動きも強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。4月6日の終値は661円で、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS885円61銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約125億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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