[東京 16日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、戻りを試す展開となりそうだ。世界的な景気減速懸念が強まる中で、米利上げ先送り観測や日欧中の政策期待が相場を支えるとみられる。郵政3社の大型上場を控えて、市場環境を整えたいとの思惑も働くという。だが、本格化する米企業決算が想定以上に悪ければ日本株にも重しとなる。中国の経済指標も要注意だ。
日経平均の予想レンジは1万7900円─1万8700円。
足元で主要国の経済指標が軒並み悪化し、株式市場は政策対応を織り込む局面に入っている。米国で年内の利上げ見送り観測が強まる中、国内では30日の日銀追加緩和期待、欧州では年内にも量的緩和(QE)策の拡大が発表されるのではとの見方が浮上している。中国では今月下旬の党中央委員会第5回全体会議(5中全会)での経済対策議論が注目されている。「必ずしも金融相場が良いわけではないが、グローバルな景気減速にもかかわらず、マネーがリスク資産に向かいやすい環境になっている」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)という。政策に対する市場の期待感が持続されれば、来週も日本株は戻りを試す展開が見込めそうだ。
19日には日本郵政グループ上場3社のうち、ゆうちょ銀行 7182.T とかんぽ生命保険 7181.T の売出価格が決定する。価格決定後に投資家への配分が確定することから、週前半は、購入資金を手当てするための換金売りも出そうだが、政府や業界内には一大イベントを成功させたいとの意向が強く、市場では「大型上場の環境を整えようという見えざる力が働きやすい」(国内証券)との思惑もある。
一方、米国では金融業界の7―9月期決算発表が一巡し、IT業界や消費財業界の決算発表が本格化する。19日にIBM、21日にボーイング、コカ・コーラ、GM、22日にキャタピラー、マイクロソフトなどが決算発表を予定している。S&P500社ベースでは、原油安、ドル高に中国景気の減速が加わり、4%程度の減益が見込まれている。悪材料の織り込みは進んでいるが、予想以上に悪い内容であれば、米国株が下落し日本株にも波及することは避けられない。 中国で19日に発表される9月鉱工業生産、7―9月期GDP成長率などの重要経済指標も注目度が高い。景気減速の度合いが想定以上に大きければ、改めて売り材料にされそうだ。「日本株の下落トレンドはいったん終了したが、まだ不安感は残っている。海外投資家が本腰を入れて日本株を買うには、もう少し時間がかかる」(証券ジャパン調査情報部長の大谷正之氏)とみられている。
(株式マーケットチーム)