[オタワ 28日 ロイター] - カナダの裁判所が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ) [HWT.UL]副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟被告の米国への身柄引き渡しに道を開く判決を下したことについて、専門家らは、中国がカナダに追加の報復措置を講じる可能性があると指摘する。
カナダのブリティッシュコロンビア州の上位裁判所は27日、イラン制裁に絡む銀行詐欺などの罪で米国で起訴されている孟被告の主張を退ける判決を下した。在カナダ中国大使館は強く反発した。
この判決はカナダに大きな悪影響をもたらす可能性がある。カナダ当局が2018年12月に米国の要請で孟被告を逮捕した後、中国は安全保障に関する容疑でカナダ人2人の身柄を拘束し、カナダからのキャノーラ(菜種)輸入の一部を禁止した。
一方、カナダでの新型コロナウイルスワクチンの治験を見据え、中国カンシノ・バイオロジクス (HK:6185)は今月、カナダ国立研究機関との共同研究を開始しており、新型コロナの感染拡大を受けて中国はカナダに防護具も供給している。
カナダの首都オタワにあるカールトン大学のステファニー・カービン准教授は「中国がこれらの協力を打ち切れば、人々が死ぬことになる」と指摘。「協力がすぐに消滅してしまい、カナダの立場が非常に悪くなることを私は強く懸念している」と続けた。
カナダの元駐中国大使のギー・サンジャック氏はカナダ放送協会(CBC)に対し、中国は、身柄を拘束中のカナダ人2人の裁判の日程を発表し、貿易面でも制裁的措置を取ると予想。「習近平(中国国家主席)は強硬姿勢を印象付け、カナダに対抗措置を取っていると認識されることを望むだろう」と述べた。
カナダのトルドー首相は28日、中国の報復を恐れているかとの問いに直接は回答せず、カナダの司法制度は独立していると述べ、中国にカナダ人男性2人の即時解放を改めて求めた。「カナダは引き続き国益とカナダの価値観を守る」と強調した。