■業績動向1. 2018年12月期の業績動向アエリア (T:3758)の2018年12月期の業績は、売上高31,471百万円(前期比98.3%増)、営業利益1,876百万円(同30.3%減)、経常利益1,615百万円(同41.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失1,380百万円(赤転)となった。
同社が事業展開しているインターネット関連の事業分野では、インターネット利用やEC(電子商取引)市場が引き続き拡大、コンテンツサービスも多様化している。
一方、企業間競争はますます激化しており、開発費や人件費、販促費といった費目が増加する傾向にある。
このような環境のなか、同社はITサービス事業の安定収益を基盤に、女性などニッチなマーケットに絞ることでスマートフォンゲーム市場におけるポジションを構築した。
また、訪日外国人観光客を取り込みつつ、自社IPとシナジーを生かせる民泊も推進した。
売上高の増加は、「A3!(エースリー)」の収益が好調に推移したこと、サイバードなど連結子会社が増加したことが要因である。
売上総利益率は悪化したが、連結子会社の開発費がオンしたことが要因と思われる。
販売費及び一般管理費の増加は、コンテンツ事業の売上増加に伴う回収代行手数料や広告宣伝費の増加による。
特に、自社IPのポテンシャルの高さに思い至ったことから、期中に業績を修正してまでも広告宣伝を強化し、後発メーカーを引き離しにかかったのである。
もちろんゲーム内容の秀逸さによって「A3!」は一定の評価と持続的な人気を勝ち得たわけだが、今後のIP戦略にとって大きなターニングポイントになったと思われる。
なお、アスガルドにおける債務免除益など特別利益722百万円を計上した一方、集中と選択に伴ってアリスマティックなど一部連結子会社ののれんやタイトルの減損など特別損失2,201百万円を計上した。
また、2015年のインフォトップキャピタルによるインフォトップ株式の取得に関しての法人税等を更正したため、第2四半期において454百万円を計上している。
セグメント別の業績は、ITサービス事業がエアネットとファーストペンギンの主力2社が安定した収益を維持しており、売上高6,055百万円(前期比30.2%増)、セグメント利益481百万円(同9.4%増)となった。
コンテンツ事業は、「A3!」の好調が継続したうえキャラクターグッズの販売や舞台化などIPビジネスが急拡大、一方で市場ポジション獲得のための広告宣伝費などがかさみ、売上高は14,262百万円(同59.6%増)、セグメント利益は922百万円(同61.9%減)となった。
アセットマネージメント事業は、Twistやトータルマネージメントでコンテンツ事業とのIPコラボを推進しており、売上高は10,008百万円(同320.4%増)、セグメント利益は452百万円(前期は94百万円の損失)と大きく収益化した。
やや保守的な印象の業績見通し2. 2019年12月期の業績見通し同社は2019年12月期業績を、売上高32,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益2,200百万円(同17.3%増)、経常利益2,000百万円(同23.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(前期は1,380百万円の損失)と見込んでいる。
2019年12月期も、ITサービス事業は引き続き安定収益が見込まれる。
コンテンツ事業については、既存タイトルとIPの拡充に注力する方針で、事業の再編とACHによるノウハウの共有により売上総利益率が改善、新規タイトルが前期比で減ることから開発費用が抑制される見込みで、収益性の改善が期待される。
また、2018年6月に子会社化したサイバードの収益は通年寄与となり、市場シェアの向上にも大きく貢献しそうだ。
なお、2018年7月のIR(Integrated Resort:統合型リゾート)法成立を背景に、運営ノウハウが付加価値となりそうな同社カジノゲームが今後注目されるかもしれない。
アセットマネージメント事業は、他社IPとのコラボ民泊も含め民泊サービスを拡充する方針である。
このように、同社は再編後の事業のアクセルを徐々に踏み込み始めている感じだが、それにもかかわらず業績予想がやや保守的になっている。
これは、2019年12月期は業績の下方修正をしたくないという同社の強い意志の表れだと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)