■成長戦略
ユニリタ (T:3800)は、前述のとおり、2016年3月期から3ヶ年の「第2次中期経営計画」を推進している。
企業のIT部門に求められる役割が企業価値向上のために直接貢献するところへシフトしていくなかで、「パッケージソフトウェアメーカーとしての製品開発力並びにサービス力の強化」「お客様の経営課題解決に必要とされるITスキルの強化」「新・企業文化創り」の3つを基本方針に掲げ、事業変革実現に向けて取り組んでいる。
最終年度である2018年3月期の目標として、売上高10,000百万円(3年間の年平均成長率12.8%)、経常利益2,400百万円(経常利益率24.0%)、ROE14.0%を目指している。
「メインフレーム」が縮小傾向をたどるなかで、「データ活用」及び「システム運用」における製品販売が同社の成長をけん引する想定であり、特に、新規・成長事業分野に注力する方針である。
これまでの進捗を総括すると、繰り返しになるが、新規・成長事業分野については、外部要因の影響等により進捗の遅れがみられるが、自社製品販売が伸びていることやパートナー販売が好調であるところは、パッケージソフトウェアメーカーとしてのポジショニングがより強化されてきたことを示していると評価できる。
一方、営業体制については、試行錯誤を繰り返しているものの、ビーコンITとの統合効果を十分に発揮するには至っていないようにみえる。
裏を返せば、今後の改善余地(伸びしろ)として捉えることもできよう。
2017年3月期は、ややスタートが遅れたものの、既存顧客及び新規顧客に対応する2部門編成とし、これまで中心であった顧客の情報システム部門からIT活用ニーズの強い事業部門へとアプローチ対象を広げるとともに、チーム営業として、役員から技術・営業に至る縦の連携により顧客との関係を強固とする体制を敷いた。
統合効果を生かした顧客内シェアの向上を目指しており、その成果が期待される。
また、ITスキルの強化については、2016年3月期において、技術の入れ替えのための先行投資として、市場拡大が期待される「モバイル」、「ビッグデータアナリティクス」、「クラウド」、「セキュリティ」の新規・成長事業分野に既存事業から20%相当の60名を重点配置した。
また、新規投資分野を統括する新ビジネス本部を設置するとともに、IoT、セキュリティ等のテーマに関するソリューションにも着手。
2017年3月期に入ってからも、引き続き新規・成長事業分野への先行投資(人材配置)を継続している。
新技術の対応人材は目標20%に対して15%まで増えており、今後の成長に向けたIT技術の入れ替えは順調に進展している。
小さな組織によるマーケット適応と成長の追求を目指す子会社戦略については、2016年3月期までの業績の伸びにやや足踏みが見られるものの、重要な位置付けに変わりはない。
新たに設立したユニ・トランドも順調に立ち上がっており、追加的なM&Aを含め、本体とグループ会社間での人材資源の相互活用やクロスセルの実施など、グループシナジーの創出に取り組む方針である。
新・企業文化創りについても、ユリニタ文化創造プロジェクトを立ち上げ、社員の意識改革(「平時の危機感」の醸成など)や、合併組織のネックとなりがちな社員間及び組織間のコミュニケーション問題の改善を図るとともに、「ミドルアップ・ミドルダウン型」の行動様式(新しいことにチャレンジしやすい環境)への変革に取り組んでおり、挑戦する組織づくりに向けて手応えをつかんできたようだ。
以上から、幾分ばらつきがみられるものの、同社の成長戦略はおおむね順調に進捗していると評価してよいだろう。
特に、自社製品販売に課題があり収益性が低かったビーコンITと、IT技術の入れ替えが急務であったBSPの双方にとって、統合効果が着実に実を結んできたところは注目すべきポイントである。
一方、今後の課題は、これまでの施策(先行投資を含む)の成果をいかに業績の伸びに結び付け、市場平均を上回る成長率を実現していくのかにある。
現在のところは外部環境に対して少し前のめりのところがみられるが、とはいえ、ITを取り巻く環境は急激に変化しており、需要の拡大に対して少なくても製品開発力や営業体制で遅れが生じないように、今後もスピード感を緩めないことが重要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
ユニリタ (T:3800)は、前述のとおり、2016年3月期から3ヶ年の「第2次中期経営計画」を推進している。
企業のIT部門に求められる役割が企業価値向上のために直接貢献するところへシフトしていくなかで、「パッケージソフトウェアメーカーとしての製品開発力並びにサービス力の強化」「お客様の経営課題解決に必要とされるITスキルの強化」「新・企業文化創り」の3つを基本方針に掲げ、事業変革実現に向けて取り組んでいる。
最終年度である2018年3月期の目標として、売上高10,000百万円(3年間の年平均成長率12.8%)、経常利益2,400百万円(経常利益率24.0%)、ROE14.0%を目指している。
「メインフレーム」が縮小傾向をたどるなかで、「データ活用」及び「システム運用」における製品販売が同社の成長をけん引する想定であり、特に、新規・成長事業分野に注力する方針である。
これまでの進捗を総括すると、繰り返しになるが、新規・成長事業分野については、外部要因の影響等により進捗の遅れがみられるが、自社製品販売が伸びていることやパートナー販売が好調であるところは、パッケージソフトウェアメーカーとしてのポジショニングがより強化されてきたことを示していると評価できる。
一方、営業体制については、試行錯誤を繰り返しているものの、ビーコンITとの統合効果を十分に発揮するには至っていないようにみえる。
裏を返せば、今後の改善余地(伸びしろ)として捉えることもできよう。
2017年3月期は、ややスタートが遅れたものの、既存顧客及び新規顧客に対応する2部門編成とし、これまで中心であった顧客の情報システム部門からIT活用ニーズの強い事業部門へとアプローチ対象を広げるとともに、チーム営業として、役員から技術・営業に至る縦の連携により顧客との関係を強固とする体制を敷いた。
統合効果を生かした顧客内シェアの向上を目指しており、その成果が期待される。
また、ITスキルの強化については、2016年3月期において、技術の入れ替えのための先行投資として、市場拡大が期待される「モバイル」、「ビッグデータアナリティクス」、「クラウド」、「セキュリティ」の新規・成長事業分野に既存事業から20%相当の60名を重点配置した。
また、新規投資分野を統括する新ビジネス本部を設置するとともに、IoT、セキュリティ等のテーマに関するソリューションにも着手。
2017年3月期に入ってからも、引き続き新規・成長事業分野への先行投資(人材配置)を継続している。
新技術の対応人材は目標20%に対して15%まで増えており、今後の成長に向けたIT技術の入れ替えは順調に進展している。
小さな組織によるマーケット適応と成長の追求を目指す子会社戦略については、2016年3月期までの業績の伸びにやや足踏みが見られるものの、重要な位置付けに変わりはない。
新たに設立したユニ・トランドも順調に立ち上がっており、追加的なM&Aを含め、本体とグループ会社間での人材資源の相互活用やクロスセルの実施など、グループシナジーの創出に取り組む方針である。
新・企業文化創りについても、ユリニタ文化創造プロジェクトを立ち上げ、社員の意識改革(「平時の危機感」の醸成など)や、合併組織のネックとなりがちな社員間及び組織間のコミュニケーション問題の改善を図るとともに、「ミドルアップ・ミドルダウン型」の行動様式(新しいことにチャレンジしやすい環境)への変革に取り組んでおり、挑戦する組織づくりに向けて手応えをつかんできたようだ。
以上から、幾分ばらつきがみられるものの、同社の成長戦略はおおむね順調に進捗していると評価してよいだろう。
特に、自社製品販売に課題があり収益性が低かったビーコンITと、IT技術の入れ替えが急務であったBSPの双方にとって、統合効果が着実に実を結んできたところは注目すべきポイントである。
一方、今後の課題は、これまでの施策(先行投資を含む)の成果をいかに業績の伸びに結び付け、市場平均を上回る成長率を実現していくのかにある。
現在のところは外部環境に対して少し前のめりのところがみられるが、とはいえ、ITを取り巻く環境は急激に変化しており、需要の拡大に対して少なくても製品開発力や営業体制で遅れが生じないように、今後もスピード感を緩めないことが重要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)