■資源関連の割安株買いが増勢
エンビプロ・ホールディングス<5698>(東証プライム)は、16日に150円高の1042円とストップ高と急続伸して引け、今年5月12日につけた株式分割の権利落ち後安値868円から底上げするとともに、4月19日につけた分割落ち後高値1079円に肉薄した。
同社は、5月13日に今2022年6月期予想業績の再上方修正と再増配を発表し、純利益が連続の過去最高の更新幅を拡大させ、市場コンセンサスを上回ったことを手掛かりにし、資源関連の割安株買いが増勢となっている。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による地政学リスクで、レアメタル価格の急騰など資源価格が上昇しており、同社の積極的な中期経営計画の目標経常利益を4年前倒しで達成することになることも、支援材料視されている。
■3Qの鉄スクラップ価格が66%高と急騰し取扱量も増加
同社の今6月期業績は、今年3月28日に上方修正されたが、その修正業績を5月13日の今期第3四半期(2021年7月~2022年3月期、3Q)決算の発表に合わせてさらに再上方修正した。3月増額値より売り上げを20億円、営業利益を5億9000万円、経常利益を8億円、純利益を5億7000万円それぞれアップさせ、売り上げ570億円(前期比39.2%増)、営業利益33億1000万円(同55.4%増)、経常利益40億円(同59.5%増)、純利益28億7000万円円(同92.4%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高を大幅更新し、市場コンセンサスを4億円超上回る。
ウクライナ情勢により鉄鋼半製品などの供給減少が懸念されたほか、円安進行により資源価格が上昇し、鉄スクラップ価格が、3Qに1トン当たり6万4500円と2008年以来の高値に高騰し、3Qの期中平均価格が、5万3735円と前年同期の3万2231円を66.7%も上回り、鉄スクラップの取扱量も拡大し、リチウムイオン電池のリサイクル事業も続伸したことなどが要因となる。配当は、今年3月に年間33円を46円(株式分割権利落ち後は23円)に増配したが、さらに25円に再増配、株式分割を勘案すると年間50円へ連続増配幅を拡大させる。
一方、中期経営計画では最終年度の2026年6月期に売り上げ700億円、経常利益40億円を目標業績としている。脱炭素社会実現に向け、鉄鋼生産ではCO2の排出量が高炉の4分の1に低減される電炉生産が高まって鉄スクラップ需要が拡大し、電動化による非鉄金属・レアメタル需要の増加、廃プラスチックの高度資源循環の促進など事業環境は良好であり、成長戦略を推進する。今2022年6月期の経常利益は、この業績目標を4年前倒して早期達成することになる。
■PER10倍の割安修正で落ち後高値抜けから上場来高値の落ち換算値を目指す
株価は、今年3月の今期業績の上方修正に増配、株式分割の同時発表でストップ高を交えて年初来高値2332円まで47%高し、2059円で株式分割(基準日4月19日、1株を2株に分割)の権利を落とした。分割権利落ち後は、1079円と落ち後の理論価格を上回る場面もあったが、世界同時株安の波及で落ち後安値868円へ下ぶれ底値確認を続けてきた。この日のストップ高でもPERは10.7倍と割り負けており、分割落ち後高値抜けから年初来高値の分割権利落ち換算株価1166円を奪回し、昨年11月につけた上場来高値(2818円)の分割落ち換算値1409円へキャッチアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)