[ロンドン 16日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は16日、政策金利を0.25%ポイント引き上げ1.25%とすると発表した。昨年12月から5会合連続の利上げとなるが、物価高の悪影響を阻止するため「力強く行動」する用意があると述べた。
今回の利上げにより、政策金利は2009年1月以来の高水準となった。
利上げは5月会合に続き6対3で決定。ハスケル、マン、ソーンダーズの各委員が0.50%ポイントの引き上げを主張した。
英中銀は「政策金利のさらなる引き上げの規模、ペース、タイミングは、経済見通しとインフレ圧力に関する金融政策委員会の評価を反映する」とし「委員会は、より持続的なインフレ圧力の兆候に特に注意を払い、必要であれば、それに対して力強く行動する」と述べた。
中銀は5月以降のニュースは比較的小粒なものだったが、市場における政策金利見通しは大きく上振れたと指摘した。
「今後数カ月である程度の追加的な引き締めが依然として適切な可能性がある」と委員会の大半のメンバーが考えている、とした5月のガイダンスを今回は取り下げた。
<8月には50bp利上げも>
英ポンドは対米ドルで一時1セント以上下落。英国債利回りは大幅に上昇した。
米連邦準備理事会(FRB)は15日、5月に続き利上げを決定。上げ幅は75bpで1994年以来27年ぶりの大幅利上げとなった。
IGグループのチーフ市場アナリスト、クリス・ボーシャン氏は「米連邦準備理事会(FRB)はインフレに対してうなり声を上げたが、英中銀はまたも臆病な猫のようだ」と指摘。「インフレに対して『力強く』行動する用意があるというコメントは、委員会がなお慎重であることを示す証拠の前ではほとんど意味がない」と断じた。
投資家は、次回8月4日の会合で0.5%ポイント利上げの可能性を50%以上織り込んだ。ただ一部のアナリストは、英国の経済見通しが悪いため、引き締めを緩めるとみている。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートの英国チーフ投資ストラテジスト、ビベック・ポール氏は「イングランド銀行はいち早く政策の正常化に着手した。現在、目先の成長に対する最も深刻なリスクに直面している。つまり、金利を中立的な水準にする道をさらに進んだことになる。景気後退のリスクが高まる中でどう金融政策を運営するかというケーススタディとなりそうだ」と述べた。
<インフレ率は最大11%超、第2・四半期はマイナス成長>
4月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率が9%と40年ぶりの伸びを記録し、中銀の目標とする2%の4倍以上となった。
英中銀は16日、物価上昇のピークはエネルギー料金が再び上がる10月で11%を若干上回るとの見方を示した。
英国のインフレは国内電力料金制度や欧州連合(EU)離脱に伴う貿易への影響から他国に比べて長期化する可能性がある。慢性的な人手不足もインフレ圧力要因として中銀が懸念している。
さらに、米利上げ観測を主因とするここ数週間のポンド安もインフレ圧力となる。
英中銀はポンドが「特に対米ドルで弱くなっている」と指摘した。
4─6月期は0.3%のマイナス成長を予想。5月のプラス0.1%から下方修正した。