■会社概要
事業の概要
a)事業セグメントとセグメント別概要
アルファ (T:3434)の事業はキーセットやドアハンドル等の自動車部品事業と住宅・産業用ロック、ロッカーシステムなどを扱うセキュリティ機器事業に大別される。
2016年3月期での売上構成比は自動車部品事業85%、セキュリティ機器事業15%と自動車部品部門が高い比率を占めるが、営業利益(徐調整費)では自動車部品事業48%に対してセキュリティ事業が52%と比率が逆転している。
これは、近年、自動車の国内登録台数が大きく減少、国内の自動車部品部門の構造改革が途中であることが影響している。
b)自動車部品事業の推移:日産自動車向け中心のビジネスからグローバル展開
同社の自動車部品事業はキーセットとドアハンドル、一部海外ではグローブボックスも手掛ける。
主要取引先は日産自動車 (T:7201)、日産グループ各社、本田技研工業(ホンダ (T:7267))、富士重工業 (T:7270)、いすゞ自動車 (T:7202)、三菱自動車工業(三菱自動車 (T:7211))、マツダ (T:7261)等であるが、特に日産グループとの取引が多く、2016年3月期の自動車部品事業の売上高の74.0%(全体でも62.5%)を占める。
自動車部品用工場立地も、歴史的に国内では群馬県館林工場(1963年)、子会社の九州アルファ(1993年)など、日産自動車、富士重工業(かつては日産グループの一員)の工場に近い立地となっている。
同社の自動車部品事業の業績推移を見ると、2011年3月期から2016年3月期にかけて売上高は横ばい基調であるが、営業利益は2,120百万円から599百万円へ減少、その主要因は国内向け売上の減少、営業損失の拡大にある。
これは日産自動車の国内登録台数が減少、富士重工業との取引減少など、国内取引が大幅減少、国内売上高がこの間に約6割減少、国内自動車部品事業の構造改革が追い付かなかったことが主因とみられる。
一方、海外はアジア、北米中心に日産グループの生産拠点に合わせて設備増強を行い、収益拡大してきた。
従業員も主力海外子会社で2016年3月期には3000名を超えるまでになっている。
北米については米国で設計販売、生産はメキシコに移しているため、従業員はメキシコが大半を占める。
さらに同社は2016年3月、ASSA ABLOY ABのカーアクセス・セキュリティ事業の譲受を行い、チェコ、メキシコ、ドイツ、スイス、中国での事業を取得することになった。
ASSA ABLOY ABはフォルクスワーゲン・グループを主たる取引先として有しており、今後、チェコ工場をメイン工場として欧州から順次日産グループ以外に販路を拡大する。
また欧州では生産拠点がないことで従来他社が納入していた日産・ルノーグループへも納入する方向で、日産グループ以外への供給を含め、グローバル化が進展する。
c)セキュリティ機器事業は国内販売主体でシェアの高い製品群も多く着実な収益を稼ぐ
セキュリティ機器事業は売上高の92.1%が国内であり、売上げの内訳は住宅玄関電気錠などの住設機器事業が71%、駅ターミナルやレジャー施設などのロッカーシステムやゴルフ場のフリーボックスなどが29%となっている。
住宅用では電子錠が着実な成長をしているほか、YKK AP(株)以外に大手ハウスメーカーが採用することで着実に売上高を増やしている。
またコインロッカーではターミナル・レジャーなどで約50%シェア、ゴルフ場では70%シェアなど高いシェアを有している。
同部門は従来、山梨工場で生産を行っていたが、コスト競争力の強化やグローバル展開の積極化を進めるため2014年3月に工場を閉鎖、タイの現地子会社へ生産を移管、跡地を物流センターと太陽光発電施設に有効活用、収益力確保を進めている。
一方、海外販売での展開は規模が小さい。
ただし2015年3月期より事業が拡大、生産拠点としての役割に加えて販売拡大の体制も整いつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
事業の概要
a)事業セグメントとセグメント別概要
アルファ (T:3434)の事業はキーセットやドアハンドル等の自動車部品事業と住宅・産業用ロック、ロッカーシステムなどを扱うセキュリティ機器事業に大別される。
2016年3月期での売上構成比は自動車部品事業85%、セキュリティ機器事業15%と自動車部品部門が高い比率を占めるが、営業利益(徐調整費)では自動車部品事業48%に対してセキュリティ事業が52%と比率が逆転している。
これは、近年、自動車の国内登録台数が大きく減少、国内の自動車部品部門の構造改革が途中であることが影響している。
b)自動車部品事業の推移:日産自動車向け中心のビジネスからグローバル展開
同社の自動車部品事業はキーセットとドアハンドル、一部海外ではグローブボックスも手掛ける。
主要取引先は日産自動車 (T:7201)、日産グループ各社、本田技研工業(ホンダ (T:7267))、富士重工業 (T:7270)、いすゞ自動車 (T:7202)、三菱自動車工業(三菱自動車 (T:7211))、マツダ (T:7261)等であるが、特に日産グループとの取引が多く、2016年3月期の自動車部品事業の売上高の74.0%(全体でも62.5%)を占める。
自動車部品用工場立地も、歴史的に国内では群馬県館林工場(1963年)、子会社の九州アルファ(1993年)など、日産自動車、富士重工業(かつては日産グループの一員)の工場に近い立地となっている。
同社の自動車部品事業の業績推移を見ると、2011年3月期から2016年3月期にかけて売上高は横ばい基調であるが、営業利益は2,120百万円から599百万円へ減少、その主要因は国内向け売上の減少、営業損失の拡大にある。
これは日産自動車の国内登録台数が減少、富士重工業との取引減少など、国内取引が大幅減少、国内売上高がこの間に約6割減少、国内自動車部品事業の構造改革が追い付かなかったことが主因とみられる。
一方、海外はアジア、北米中心に日産グループの生産拠点に合わせて設備増強を行い、収益拡大してきた。
従業員も主力海外子会社で2016年3月期には3000名を超えるまでになっている。
北米については米国で設計販売、生産はメキシコに移しているため、従業員はメキシコが大半を占める。
さらに同社は2016年3月、ASSA ABLOY ABのカーアクセス・セキュリティ事業の譲受を行い、チェコ、メキシコ、ドイツ、スイス、中国での事業を取得することになった。
ASSA ABLOY ABはフォルクスワーゲン・グループを主たる取引先として有しており、今後、チェコ工場をメイン工場として欧州から順次日産グループ以外に販路を拡大する。
また欧州では生産拠点がないことで従来他社が納入していた日産・ルノーグループへも納入する方向で、日産グループ以外への供給を含め、グローバル化が進展する。
c)セキュリティ機器事業は国内販売主体でシェアの高い製品群も多く着実な収益を稼ぐ
セキュリティ機器事業は売上高の92.1%が国内であり、売上げの内訳は住宅玄関電気錠などの住設機器事業が71%、駅ターミナルやレジャー施設などのロッカーシステムやゴルフ場のフリーボックスなどが29%となっている。
住宅用では電子錠が着実な成長をしているほか、YKK AP(株)以外に大手ハウスメーカーが採用することで着実に売上高を増やしている。
またコインロッカーではターミナル・レジャーなどで約50%シェア、ゴルフ場では70%シェアなど高いシェアを有している。
同部門は従来、山梨工場で生産を行っていたが、コスト競争力の強化やグローバル展開の積極化を進めるため2014年3月に工場を閉鎖、タイの現地子会社へ生産を移管、跡地を物流センターと太陽光発電施設に有効活用、収益力確保を進めている。
一方、海外販売での展開は規模が小さい。
ただし2015年3月期より事業が拡大、生産拠点としての役割に加えて販売拡大の体制も整いつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)