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アウトソーシング Research Memo(8):17/12期も増収増益を見込む

発行済 2017-06-15 15:07
更新済 2017-06-15 15:34
アウトソーシング Research Memo(8):17/12期も増収増益を見込む
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■業績見通し

2017年12月期の業績予想についてアウトソーシング (T:2427)は、売上収益を前期比58.6%増の213,000百万円、営業利益を同67.5%増の9,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益を同66.6%増の5,100百万円と見込んでいる。
EBITDAでも前期比73.2%増の12,400百万円と大幅な増益を計画しており、引き続き業績の伸びが継続する見通しである。


売上収益は、前期比で786億円(前期比58.6%増)の増収を見込んでいるが、そのうち、a) オーガニックな成長を367億円、b) 既に基本合意しているM&Aによる上乗せ分を419億円と想定している。
したがって、オーガニックな成長だけを取り上げると成長率は約27%となる。
さらに、オーガニックな成長367億円のうち、前期M&Aが通年寄与することによる上乗せ分を差し引くと、実質的なオーガニック成長率は14%と比較的緩やかな水準となる。
したがって、当期の業績の伸びもM&A(前期M&Aによる寄与分を含む)によるところが大きい。
ただ、前述したとおり、当期を「次の飛躍に向けた戦略的踊り場」と位置付けており、新たな大型の戦略的投資(M&A等)は予定していない。
過去にM&Aしてきた企業のガバナンス構築や投資回収の検証を徹底の上、事業体制を確立しキャッシュ・フローの創出を目指す。


なお、増収要因(前期比786億円増)の内訳は以下のとおりである。


a) オーガニックな成長367億円の内訳
1)「国内技術系アウトソーシング事業」が83億円増(前期比20.4%増)、2)「国内製造系アウトソーシング事業」及び「国内管理系アウトソーシング事業」の合算で101億円増(前期比28.4%増)、3)海外事業の合算で171億円増(前期比32.2%増)、4)米軍基地内の福利厚生施設向け人材派遣事業等で12億円増(前期比22.2%増)を想定している。


b) 既に基本合意しているM&Aによる加算419億円の内訳
2017年1月4日にM&AしたOrizon Holding GmbH(ドイツ)※1により343億円、2017年4月3日にM&Aしたアメリカンエンジニアコーポレイション(以下、AEC)※2により76億円が上乗せされる想定である。


※1ドイツで第8位規模の人材派遣会社で、機械・航空機・医薬品業界等の製造事業者向け人材派遣に強みを持ち、将来の事業成長へ向け最新IT技術を駆使した組織効率化を進める収益性の高い企業である。
公的業務の受託事業で多くのエンジニアとノウハウを持つ英国のグループ各社と、ドイツを中心に欧州で広い営業網を持つOrizonの連携により、ドイツ周辺国へ公的業務の受託事業を拡大する方針である。

※2国内米軍基地での軍事施設や設備の改修・保全業務、空調・電気工事業務を受託する企業である。



一方、利益面に目を向けると、営業利益率が4.5%(前期は4.2%)に大きく改善するのは、IFRS移行に伴いのれん償却費の大半がなくなることなどが影響している。
ただ、のれん償却費等の影響を受けないEBITDAの売上収益比率でみても5.8%(前期は5.3%)に向上する想定となっており、オーガニック成長による収益性の改善を見込んでいる。


事業別のオーガニック成長とその前提は以下のとおりである。

1)「国内技術系アウトソーシング事業」は約83億円のオーガニック成長を見込んでいる。
エンジニア不足や「2018年問題」(2015年改正の労働者派遣法)の顕在化が進む中で、業界淘汰への対応とKENスクールの活用が業績の伸びをけん引する見通しである。
特に、業界淘汰への対応については、事業継続が困難となる派遣会社のM&Aや派遣社員の転籍集約を拡大する方針のもと、中小派遣会社を取り込むためのJV会社を設立した。
2017年12月末の在籍人数を8,566名(前期末比2,500名増)と想定しているが、その内訳として、「転籍集約・M&A」による在籍人数を315名(前期末比200名増)、KENスクール活用スキームを2,810名(同1,300名増)、新卒を1,475名(同600名増)、一般採用を3,966名(同400名増)と見込んでいる。


2)「国内製造系・管理系アウトソーシング事業」は合算で約101億円のオーガニック成長を見込んでいる。
2つの「2018年問題」の顕在化が進むなかで、PEOスキームによるメーカー直接雇用の期間社員の転籍受け入れをさらに加速させるとともに、外国人技能実習生の管理業務受託についても、これまでの実績や実習生監理団体との連携、アジアの現地実習生送り出し機関とのパイプ等を生かして拡大を図る方針である。
2017年12月末の在籍人数(合算)は19,000名(前期末比6,983名増)を想定しているが、そのうち、PEOスキームによる在籍人数を10,000名(前期末比4,481名増)、外国人技能実習生※を5,100名(同2,487名増)、一般採用、新卒等を3,900名(同15名増)と見込んでいる。


※外国人技能実習生は同社の雇用ではなく顧客の雇用となるが、その管理業務を同社が受託するため、在籍人数に便宜的にカウントしている。



3)「海外事業」は合算で約171億円のオーガニック成長を見込んでいる(前期M&Aの通年寄与による上乗せ128億円を含む)。
英国の中央政府・地方政府の各種業務のBPO事業、オーストラリア政府等の公共機関が顧客となる刑務所や空港等の公共施設での各種アウトソーシング事業、アジアにおける欧州や現地の大手企業が顧客となるペイロール事業へのバックアップ強化により現地各社の成長加速を図るとともに、グループ各社が各国で行っている政府系事業の相互展開を強力に推進することによりシナジー最大化を目指す方針である。


4)「米軍基地向けサービス等」は約12億円のオーガニック成長を見込んでいる(当期からスタートするAECによる米軍基地施設や設備の改修・メンテナンス事業は除く)。
国内の当社グループ営業ネットワークを活用し、全国各地で20ヶ所超の主要米軍基地へ展開する方針である。


弊社では、M&Aによる上乗せ分は実績内の水準であることや、オーガニックな成長についても外部要因及び内部要因の両面から判断して、決して高いハードルではないとみている。
したがって、業績の上振れの可能性にも注意が必要だろう。
また、来期以降の成長に向けて、これまで買収してきた企業を含めた事業体制の確立及びシナジー創出のほか、投資回収期間の短縮や財務改善に向けた進捗に注目している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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