〇中国是正の方向性探る〇
5月の選挙で返り咲いたマレーシアのマハティール首相は急速な中国「一帯一路」離れを行っている。
中国主導の新幹線計画、ボルネオのガス・パイプライン計画の中止を先般の訪中で事実上宣言した(総額230億ドル、財政難を理由に表面上は中断表明)。
加えて、27日、「フォーレスト・シティへの外国人投資を禁止する。
不動産投資移民にはビザを発給しない。
フォーレスト・シティは外国の植民地ではない」と述べた。
フォーレスト・シティはシンガポールとの西側国境付近に70万人規模の人工都市を作るもので、中国・カウンティガーデン(碧佳園)が造成、建設、販売する。
既に1万戸を販売、買い手は9割が中国人。
「10年間マルチ」と呼ばれる投資家ビザ制度(親中派だった前ナジブ政権が設けた)がバックアップする。
総事業費1000億ドルと言われる事業が頓挫するのか注目される。
中国の「一帯一路」は単に東西交流などの経済面だけでやっているものではない。
中国人の世界展開を様々な形で推進するもので、マレーシアはその代表的存在だった。
元々、華僑人口35%と言われ、中国との結び付きは深い。
その繋がりで北朝鮮も根を張り、金正男暗殺事件の発生場所になったと言われる。
外国人不動産投資規制は中国を指しているのは明らかで、同様な立場にいる他の国々が追随するか注目される。
今のところ、中国側は目立った反撃を行っておらず、かつての南シナ海問題でのフィリピン・バナナ規制、THAAD問題での韓国への様々な嫌がらせを行った勢いはない。
27日付新華社通信は「一帯一路」5周年会議で習近平主席が「一帯一路で『中国クラブ』を作るつもりはない」と述べたと伝えた。
背景に米国の貿易戦争などでの圧力があるのは明らかで、米国は中国に全面屈服を求めているとの観測も出ている。
米議会米中経済・安全保障問題検討委員会は中国の工作活動の一環で、ワシントンの有力シンクタンクが資金提供などを受けていたとする報告書を発表した。
孔子学院の相次ぐ閉鎖、親中派(パンダ・ハガー)の急速な縮小など、今までの中国膨張路線の全否定のような流れができつつある。
ウイグル、チベットなどの人権問題、台湾問題、さらに北朝鮮問題などが具体的案件として絡む。
この中で、安倍首相は日中関係改善に動いている。
10月の日中首脳会談実現は未だ不透明だが、中国が大破裂を起こしてもらっても困るので、監視強化の意味合いでは分かるが、妙な妥協姿勢は厳しく批判されるリスクがある。
早くも日朝極秘交渉の暴露とか、トランプ大統領の「真珠湾忘れない」発言報道とか、牽制球のようなものが飛んでいる。
方向性として、日本の政策とマハティール政策は合致するが、安倍政権がそこまで厳しい対応を取れるかどうかは不透明。
株式市場の中国問題認識に戸惑いが見られる要因の一つと考えられる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/8/29号)
5月の選挙で返り咲いたマレーシアのマハティール首相は急速な中国「一帯一路」離れを行っている。
中国主導の新幹線計画、ボルネオのガス・パイプライン計画の中止を先般の訪中で事実上宣言した(総額230億ドル、財政難を理由に表面上は中断表明)。
加えて、27日、「フォーレスト・シティへの外国人投資を禁止する。
不動産投資移民にはビザを発給しない。
フォーレスト・シティは外国の植民地ではない」と述べた。
フォーレスト・シティはシンガポールとの西側国境付近に70万人規模の人工都市を作るもので、中国・カウンティガーデン(碧佳園)が造成、建設、販売する。
既に1万戸を販売、買い手は9割が中国人。
「10年間マルチ」と呼ばれる投資家ビザ制度(親中派だった前ナジブ政権が設けた)がバックアップする。
総事業費1000億ドルと言われる事業が頓挫するのか注目される。
中国の「一帯一路」は単に東西交流などの経済面だけでやっているものではない。
中国人の世界展開を様々な形で推進するもので、マレーシアはその代表的存在だった。
元々、華僑人口35%と言われ、中国との結び付きは深い。
その繋がりで北朝鮮も根を張り、金正男暗殺事件の発生場所になったと言われる。
外国人不動産投資規制は中国を指しているのは明らかで、同様な立場にいる他の国々が追随するか注目される。
今のところ、中国側は目立った反撃を行っておらず、かつての南シナ海問題でのフィリピン・バナナ規制、THAAD問題での韓国への様々な嫌がらせを行った勢いはない。
27日付新華社通信は「一帯一路」5周年会議で習近平主席が「一帯一路で『中国クラブ』を作るつもりはない」と述べたと伝えた。
背景に米国の貿易戦争などでの圧力があるのは明らかで、米国は中国に全面屈服を求めているとの観測も出ている。
米議会米中経済・安全保障問題検討委員会は中国の工作活動の一環で、ワシントンの有力シンクタンクが資金提供などを受けていたとする報告書を発表した。
孔子学院の相次ぐ閉鎖、親中派(パンダ・ハガー)の急速な縮小など、今までの中国膨張路線の全否定のような流れができつつある。
ウイグル、チベットなどの人権問題、台湾問題、さらに北朝鮮問題などが具体的案件として絡む。
この中で、安倍首相は日中関係改善に動いている。
10月の日中首脳会談実現は未だ不透明だが、中国が大破裂を起こしてもらっても困るので、監視強化の意味合いでは分かるが、妙な妥協姿勢は厳しく批判されるリスクがある。
早くも日朝極秘交渉の暴露とか、トランプ大統領の「真珠湾忘れない」発言報道とか、牽制球のようなものが飛んでいる。
方向性として、日本の政策とマハティール政策は合致するが、安倍政権がそこまで厳しい対応を取れるかどうかは不透明。
株式市場の中国問題認識に戸惑いが見られる要因の一つと考えられる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/8/29号)