9月24日にアメリカ政府は2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を課し、中国政府は対抗措置としてアメリカ製品に対し年間約600億ドルの追加関税を発動した。またこの制裁に合わせた形で中国は、関税による報復が続く限り通商協議は実現しないと表明しており、この問題の打開策は未だ不透明なままとなっている。
ここでは泥沼化し終わりが見えない米中による貿易戦争が、今年一体どのような経緯を辿って来ているか改めて振り返る。
2018年9月現在までの米中両国の動き
1月12日:中国税関総署が2017年の対米貿易黒字額が2758億1000万ドルとなり過去最高を更新した事を発表。
1月22日:アメリカが国内産業が被害を受けたとし緊急輸入制限(セーフガード)を16年ぶりに発動。
3月8日:アメリカが中国を含む殆どの国に対し鉄鋼・アルミニウム製品に追加関税を行う方針を発表 。
3月22日:アメリカが中国に知的財産を盗まれて対中貿易赤字を抱えているとし中国製品に対し制裁関税をかけると発表。
3月23日:中国商務省がアメリカに対抗関税を準備していると発表。
4月2日:中国がアメリカから輸入する果物や豚肉などに報復関税措置を発表し一部は発動し始める。
4月3日:アメリカが中国からの500億ドル規模の関税対象輸入品のリストを公表。
4月4日:中国がアメリカからの500億ドル規模の輸入品に対し関税を課すことを表明。
5月3日:北京で米中閣僚級会議が開催される。
5月17日:ワシントンで米中閣僚会議が開催される。
5月19日:貿易摩擦の解消へ向け米中の共同声明を発表。
5月22日:中国が閣僚会議を受け輸入自動車・自動車部品等の関税引き下げ措置を発表。
5月29日:トランプ米大統領が中国からの輸入品500億ドル相当に関税をかけ中国の米国ハイテク株への投資に新たな制限をかける方針を表明。
6月2日・3日:米中通商協議が北京で開催されるも進展は無く終える。
6月15日:アメリカが中国からの輸入品に対して7月6日から段階的に500億ドル規模の関税措置を行うと発表。中国側は対抗措置として米国産製品に追加関税措置を行うと発表。
-制裁・報復関税第一弾-
7月6日:アメリカが知的財産権の侵害を根拠とした制裁を発動。中国からの輸入品340億ドルに対し25%の追加関税。中国側も同日、報復措置として同規模の関税を発動。
7月10日:アメリカは中国からの輸入品約2,000億ドル分に対し追加関税を検討する事を発表。
8月1日:追加関税の税率を当初の10%から25%に変更すること検討中と発表。
8月3日:中国が600億円相当の米国製品に報復関税を行う方針を発表。
-制裁・報復関税第二弾-
8月22日・23日:米中通商協議実施も大きな進展は無く、米中両国が第2段の関税措置を発動。
9月7日:トランプ米大統領は新たに2670億ドル相当の中国製品に対し追加関税を行うことを示唆。
-制裁・報復関税第三弾-
9月24日:米・中両国が第三弾の関税措置を発動。米国は2000億ドル相当の中国製品に対し10%の追加関税を発動、中国側は600億ドル相当の米国製品に対し5-10%の追加関税を適用。
9月30日:中国が10月に予定していた米中間の安全保障協議を中止したと米国政府高官が明らかにした。
10月8日:ポンぺオ米国務長官が楊潔チ中央外事活動委員会弁公室主任、王毅国務委員兼外相らと北京で会談も、一部互いに非難の応酬のような形となる。