[シドニー 26日 ロイター] - オーストラリア統計局が26日発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は予想以上に減速し、追加利上げ圧力が弱まる可能性を示唆した。休暇関連やガソリンの価格が下落した。
前期比上昇率は0.8%と、2021年第3・四半期以来の小幅な伸びにとどまり、市場予想の1.0%を下回った。
前年比の伸びも7.0%から6.0%に鈍化し、市場予想の6.2%を下回った。
コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は前期比0.9%上昇。前年比上昇率は5.9%で、市場予想の6.0%をやや下回った。
6月単月のCPIは前年同月比5.4%上昇。5月の5.5%から伸びが鈍化した。
豪ドルは下落。先物市場では8月1日の理事会での0.25%利上げの確率が50%から31%に低下した。政策金利の予想最終到達水準も4.42%から4.32%に低下した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測部門代表のショーン・ラングケーキ氏は「労働コストの見通しには懸念が残るものの、これらのデータは中銀が時間稼ぎをして金利を現行水準に維持することを可能にするものだ」と指摘した。
ANZのシニアエコノミスト、アデレード・ティンブレル氏は「4.1%という現行の政策金利がインフレを押し下げるのに十分制約的であるということがCPI統計で鮮明になった」と述べた。ANZは政策金利がピークに達したとみている。
一方、INGのアジア太平洋調査責任者ロバート・カーネル氏は、7月のCPIも鈍化が予想されるものの、それ以降も鈍化が続くかは不透明で、9月利上げはあり得るとの見方を示した。
ナショナル・オーストラリア銀行は8月の利上げは見送られると予想した。ただ賃金上昇圧力、エネルギーコストやサービス価格の上昇により、今四半期は物価が上昇する恐れがあるとした。
同行のエコノミストは「数カ月以内に一段の引き締めが行われるリスクが残るが、同時に金利のピークが近いことをインフレの状況が示している」と述べた。
ゴールドマン・サックスは豪中銀があと2回利上げすると予想した。政策金利のピークは4.6%とし、従来予想の4.85%から引き下げた。
野村は8月の利上げ休止の確率を従来の3分の1から3分の2に引き上げた。
インフレ率は引き続き中銀目標の2─3%を上回っている。また第2・四半期は、財インフレ率が7.6%から5.8%に低下する一方、当局が高止まりを懸念するサービス部門のインフレ率は6.3%と22年ぶり高水準に加速した。旺盛な住宅需要を背景とした空室率の低下により、家賃上昇率は四半期ベースで1988年以来最も高い伸びとなった。
中銀はこれまで金利を400ベーシスポイント(bp)引き上げた。中銀は25年半ばにインフレ率が目標レンジの上限に戻ると予想するが、6月の雇用者数は予想以上に増加、失業率は約50年ぶり低水準にとどまり、労働市場は依然逼迫している。
来週には中銀の最新経済見通しが公表される。