[東京 27日 ロイター] - 明治安田生命保険は2022年度の一般勘定資産運用について、25年の経済価値ベースの資本規制導入に向けて円建て債券を積み増す計画を示した。今年度末にかけて超長期金利上昇を見込み、ペース配分は平準買いというよりも下期に買いの比重を置く。
また国内株式の売却によってリスク低減を図る一方、総合的な利回り確保のために外貨建てクレジット資産や外国投信などへの投資にも積極的に取り組む。 大崎能正・執行役員運用企画部長が27日、運用方針説明会で明らかにした。
今年度の新規財源(ニューマネー)の規模は約3兆円。このうち、円建て債に4割程度(約1兆2000億円)、海外のソブリン債(為替ヘッジ付き・オープンのトータル)に2割程度(約6000億円)、海外クレジット資産(ヘッジ付き)に3割程度(約9000億円)、外国投信などの外国株式に1割程度(約3000億円)配分する。
これに償還分を加味した残高ベースでは、「円金利資産の核」と位置付ける円建て債券は増加。
大崎氏は「足もとは日銀がマイナス金利・イールドカーブコントロール政策を変えない姿勢を明確にしており、我々も10年金利はゼロ─0.25%で推移とみるが、黒田総裁の任期は来年4月までで、年度後半には市場が次の金融政策の変更を見据えて織り込む形で20年・30年の(超長期)金利が上がる可能性があるとみている」と述べ、買い入れは平準買いではなく、年度下期にペースを加速させる考えを示した。
外債のうちヘッジ付きソブリン債は、為替ヘッジコストが上昇傾向にあるほか、過去に買い入れた銘柄の償還が多いため、残高は減少する。
一方で為替オープンのソブリン債は、為替や金利の水準次第だが現時点では横ばいの計画。ただし超過収益獲得のため、ポートフォリオの通貨をドル以外にも分散を図る。具体的には、「例えばユーロ圏はまだヘッジでプレミアムがもらえる状況で、イタリアやスペインといった比較的金利がとれるところは対象となってくる」という。
またヘッジ付きの海外クレジットは、自社のニューヨーク拠点での直接投資などの態勢を強化し、スプレッドの取れる米国クレジット資産を積極的に積み増す方針。
外国投信がメインとなる外国株式は、こちらも自社のニューヨーク拠点を活用しつつ増加させる。
一方、国内株式については、中期計画で掲げた23年度までに簿価ベースで1500億円程度の国内株式を売却する取り組みの一環で、残高は前年度に続き減少する見込み。
このほか投資用不動産は、市況を見極めながら優良物件を厳選して積み上げ、残高はやや増加する計画。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で42兆5621億円。うち外貨建て資産は12兆0386億円(28.3%)。
22年度の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。▼はマイナス。
日本国債10年物利回り 0.00%─0.25%(中央値0.20%)
米10年国債利回り 2.30%─3.00%(同2.60%)
日経平均株価 2万4000─3万0000円(同2万8500円)
米ダウ 3万2000─3万8000ドル(同3万6000ドル)
ドル/円 120─130円(同126円)
ユーロ/円 130─140円(同132円)
(植竹知子)