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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆ハロウィン緩和の思い出◆

発行済 2018-11-04 10:05
更新済 2018-11-04 11:00
【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆ハロウィン緩和の思い出◆
〇日銀の政策変更を探る動きとの攻防〇
14年のハロウィンに、日銀は黒田バズーカ第2弾を打った。
「ハロウィン緩和」と呼ばれ、日銀としては珍しい思い切った対策として記憶に残る。
14年4月の消費増税で国内景気が失速気味となったことに対処したものだが、ドル円は「105円の壁」を破り、120円台に一気に進み、日本企業の海外収益を膨らませた。
翌年に125円超になった処で慌てて止めたことが、未だにドル円の許容範囲は105~120円ゾーンとの見方を市場に定着させている。


本年も30-31日の日程で金融政策決定会合が開催されている。
本日は黒田総裁の記者会見がある。
「渋谷」の騒動の方が話題で、ほとんど関心が示されていないが、微妙な政策変更の可能性を探る動きはあろう。
26日に日銀と財務省、金融庁による定例三者会合が開催されており、気になる人には気になる動き。
昨日からの買戻し急騰相場に影響を与えた可能性も無くはない。


日銀のETF買いは昨日までで、10月は12営業日実施された。
毎日購入されている設備・人材投資(12億円)を含めた合計は8676億円、3月の8333億円を上回り、月間過去最高。
年6兆円メドに対し、累積進捗率86%。
夏場に買わなかった時、日銀はETF購入から撤退するとの見方まで出たが、今は逆に6兆円を超える可能性を探る。


通貨スワップに対する姿勢も注目される。
麻生財務相は、対中300億ドルは「日本の企業活動を支える意義がある(人民元供給)」、対印750億ドルは「有事の金融危機対応策(米ドル交換で支える)」と、性質が異なることを明確に述べた。
日銀も同姿勢と見られるが、潜在的なアジア通貨危機にどういった姿勢を示すかが焦点。
伊藤忠が6000億円投資した「中信集団」で1000億円規模の減損処理を行うと報じられており、日本企業の海外損失が続々と表面化する可能性がある。
為替安定は今でも隠れた日銀の最大課題と思われる。


東京海上日動火災は下期運用計画で、国内債削減の継続を表明した。
来年前半には日銀がマイナス金利の撤廃など金融正常化に動く可能性があるとの見立て。
超低金利の長期化に対する金融界の不満は常々表明されてきたが、「地域金融機関の収益懸念」を日銀が深刻に捉えていることが、現在の拠り所。
金融緩和是正(=円高リスク)と秋の消費増税に日本経済は耐えられるか、懸念論も強まろう。
同社の相場見通しは、範囲が広過ぎて予想になっていないが、ドル円104-117円、日経平均20500~26500円、米10年債利回り2.5-3.5%。


具体的コメントはしないと思うが、最近の株価波乱、米中貿易戦争、自然災害多発、おまけで日韓緊迫化(新日鉄住金はポスコの株式を3%ほど持っている様で、差し押さえ論の対象になれば、日本企業の資産引き揚げにつながる可能性がある)などに言及するかも注目される。
ブルームバーグの煽り記事も出ていないので、金融政策の変更自体はなさそうだが、黒田発言は今後の市場の見方に影響する可能性があろう。




出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/31号)

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