[4日 ロイター] - アジア7カ国・地域の株式市場は、昨年の外国人投資家による売越額が570億ドルと、2008年の世界金融危機以降で最大を記録した。米金利上昇に伴ってドル建て資産に資金が流出したためだ。台湾、インド、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、韓国の各証券取引所のデータで明らかになった。
米連邦準備理事会(FRB)は昨年、4回連続で75ベーシスポイント(bp)の利上げに動いた後、12月に追加で50bpの利上げを実施。これにより米10年国債利回りが約230bpも上がり、相対的にリスクの高いアジア株に対する外国人の需要に打撃を与えた。
最も売越額が大きかったのは台湾株の416億ドル。インド株は154億ドル、韓国株は96億ドルだった。
一部のアナリストは、FRBの追加利上げが想定される以上、少なくとも今年前半中にさらなる資金流出があると予想している。
IGの市場ストラテジスト、ヤップ・ジュン・ロン氏は、世界の中央銀行による一段の金融引き締めが経済に及ぼす影響を市場参加者が警戒しているだけでなく、中国の水際規制緩和に伴う新型コロナウイルスの感染拡大リスクを踏まえると、今年前半のアジア株は慎重な取引が続く可能性があるとの見方を示した。
昨年12月の日本と中国を除くアジア株の売越額は30億ドル。台湾株が25億5000万ドル、インドネシアが13億4000万ドル、韓国株が13億1000万ドルだった。
一方でインド株とベトナム株、タイ株はそれぞれ13億6000万ドル、5億5900万ドル、3億7200万ドルの買い越しとなった。