[ムンバイ 4日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は4日、主要政策金利のレポレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ5.15%とした。約6年ぶりの低成長となっている経済をてこ入れする狙いで、今年5回目の利下げを決定した。
リバースレポレートも4.90%に引き下げた。また2019/20年度の成長率予想も下方修正した。
中銀は「緩和的な」政策スタンスを維持し、インフレ率が目標の範囲内に収まるようにしつつ成長を回復させるために「必要な限り」緩和的スタンスを維持する方針を示した。金融政策委員会の声明によると、利下げと緩和スタンスの維持は、6人の委員の全員一致で決定した。
ロイターのアナリスト調査では、5.15%への利下げ予想が大勢だった。
<景気減速>
中銀の金融政策委員会は声明で「政府が最近発表した措置は個人消費の拡大や民間投資の活性化に寄与するとみられるが、減速しつづけている成長の勢いを回復する取り組み強化が妥当だ」と表明した。
インド政府は9月に法人税の大幅な引き下げを発表した。
4─6月期の国内総生産(GDP)は前年比5.0%増と、6年超ぶりの弱い伸びとなった。
中銀は今回、19/20年度のGDP伸び率予想を6.9%から6.1%に引き下げた。
今回の利下げで、今年に入り135bp引き下げたことになる。中銀は、一連の利下げが実体経済にきちんと波及していないと指摘。前回までの利下げで政策金利が年初から110bp引き下げられたのに対し、新規融資金利は加重平均で29bpしか下がっていない点を挙げた。
今回の利下げで、政策金利は約10年ぶりの低水準となった。
利下げ発表前に実施したロイター調査によると、市場は12月に15bpの追加利下げがあると予想している。
L&Tファイナンス・ホールディングスのチーフエコノミスト、Rupa Rege-Nitsure氏は「中銀は経済の安定に向け必要以上なことを行った。ここからは金融政策の効果は限られるかもしれない」とし、政府が構造改革を進めるべきだと述べた。
利下げを受け、インド株式市場は下げに転じた。NSE指数(ナショナル証券取引所に上場する50銘柄で構成) (NSEI)は日本時間17時30分時点で90.50ポイント(0.80%)安の1万1223.50。
10年債利回り
中銀は19/20年度後半の実質GDP伸び率が上向くと予想。前年同期との比較によるベース効果や、過去の金融政策が寄与するとしている。
インフレ率は、中銀の中期目標である4%を13カ月連続で大幅に下回っている。中銀は20/21年度初めまでインフレ率が目標を下回ると予想している。
中銀は10月初め以降、商業銀行の新規の融資金利を政策金利か短期国債金利に連動させるよう促しており、市場関係者は政策の波及効果が改善すると予想している。
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