[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は28日、金融政策が持つ効果が薄れる中、欧州は統合を推し進め、経済安定化に必要な機関を設立する必要があるとの考えを示した。
月末で退任するドラギ総裁は送別イベントで、ユーロ圏の金融政策の効果は一部弱まっており、主要責務の達成に向けて各国政府からの支援が必要との見解も表明。「経済における投資利益率の低下を背景に、低金利が過去と同程度の刺激効果を発揮できない状況にある」とし、「金融政策が目標を達成することはなお可能だが、財政政策を伴えば目標の達成は速まり、付随する副次的影響も減少するだろう」と述べた。
その上で、潤沢なユーロ圏共通予算を導入するよう各国首脳に促した。
欧州連合(EU)は今月10日に開いた財務相理事会で、ユーロ圏共通予算の導入で合意。規模は約170億ユーロと、マクロン仏大統領が提案した規模を大幅に下回るが、ユーロ圏債務危機を経て統合深化の度合いを巡る加盟国間の見解の相違が鮮明になる中、2年間にわたる討議がようやく収束した。
ドラギ総裁の送別イベントにはドイツのメルケル首相やフランスのマクロン大統領らも出席。マクロン大統領は、 ユーロ圏の立て直しは各国政府にかかっていると指摘。ドラギ氏が2012年にユーロ圏債務危機に際して「あらゆる手段を講じる」と述べたことを引き合いに出し、「『あらゆる手段』を推し進めるのは各国首脳と政府次第となっている」とし、「ドラギ氏の勇気と先見性に見合うべく、われわれはこうした財産の保護者となる必要がある」と述べた。
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