[チューリヒ 14日 ロイター] - スイス国立銀行(SNB、中央銀行)のメクラー理事は14日、世界経済の見通しにはかなりの不透明感があるとの認識を示した上で、超緩和的な金融政策で経済を支えるため、スイスフラン抑制に向けて外為市場に介入する用意が引き続きあると述べた。
理事はジュネーブで開かれるイベントに向けた講演原稿で、政治と経済の不透明感の水準は、ある指標によると、過去平均の約3倍の高さにあり、長期金利に強い押し下げ圧力がかかっていると指摘。
スイスフランの対ユーロ相場 (EURCHF=)は14日の取引で10月初め以来の高値を付けた。米中の通商合意を巡る懸念が安全資産とされるフランの需要を高めた。
メクラー氏は「われわれの金融政策はスイス経済に適切な金融環境を確保するために各種の障害を乗り切る必要がある」と指摘。「必要な場合は外為市場に介入する用意が引き続きある」とした。
中銀は政策金利をマイナス0.75%で据え置くとともに、銀行の準備金に対するマイナス金利適用免除の範囲を拡大してきた。[nL3N26B07V]
メクラー理事は、この措置は世界的な低金利が当面続く可能性があるとの見通しに沿ったもので、中銀はマイナス金利の市中銀行への影響を限定したかったと説明。
中銀に対して、温暖化ガス排出に関連する企業を投資対象から除外するなどして気候変動リスクを踏まえた政策を取るよう求める声があるが、これについては、低炭素社会への転換は政治家に任せるべきで、中銀が対応すべき問題ではない、と語った。