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焦点:「割安」な米銀行株の買い活発化、上昇は持続するか

発行済 2020-06-05 18:19
更新済 2020-06-05 18:36
© Reuters. 焦点:「割安」な米銀行株の買い活発化、上昇は持続するか

[4日 ロイター] - 米経済の持ち直しを見込む投資家が、割安な米銀行株の買いを活発化させている。株価上昇が持続するためには、連邦準備理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)で好結果が確認された上で、貸し倒れ損失が一服することが必要だと一部市場関係者が警告しているにもかかわらずだ。

銀行は消費者や企業の支出に影響を受けやすいセクターで、株価は新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済悪化で痛手を受けた。しかしS&P銀行株指数<.SPXBK>は先週、2日間で15%の上昇を記録した後、6月に入っても10%近く値上がりしている。

3日には、同日発表された5月の民間雇用減少幅が予想より小さかったことで銀行株指数は5%、4日も米国債利回りの上昇につれてさらに1.8%上がった。

足元で成長株よりもバリュー株が好まれる地合いが復活したほか、大手行首脳から楽観的な発言が出てきたことも、銀行株にとって追い風だ。例えばJPモルガン・チェース (N:JPM)のダイモン最高経営責任者(CEO)は、貸倒引当金の積み増しペースが第3・四半期と第4・四半期でピークアウトする可能性があるとの見通しを示した。

第2・四半期の銀行決算は厳しい数字になるだろう。また投資家は6月末に公表予定のストレステスト結果を首を長くして待っている。この結果次第で、株主に還元できる資本が決まるからだ。

ただポートフォリオマネジャーの中には、来年の利益改善を見越したポジション構築に動く向きも見られる。来年までには、景気悪化に伴う引当金の大半を積み終えられるとの想定に基づいている。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「これからの1年は事態が良くなるとの明るい見方が存在する。また銀行は他のほぼ全てのセクターの後塵を拝してきたので、今になって追いつこうとしている」と述べた。

実際、S&P銀行株指数は最近の上昇を踏まえても、年初来の下落率が29%とS&P総合500種 (SPX)の3%強の下落よりずっと大きく、依然として年初来で最も出遅れているセクターの1つだ。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツの米国株投資マネジャー、マイケル・クロニン氏は、ストレステスト後、FRBがより多くの資本を内部にとどめるよう求めた場合に配当が停止されかねないとの懸念が、株価を引き続き圧迫しているとの見方を示した。

新型コロナのパンデミック(大流行)に投資家がおびえていた2月に、銀行セクターの株価純資産倍率(PBR)が急低下し始め、4月には2009年の金融危機以降で最低となる0.72倍に沈んだ。その後0.81倍まで回復しているものの、過去平均の1.22倍に比べてまだ割安に見える。

マニュライフインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ライアン・レンテル氏は「多くのマイナス要素は現在のバリュエーションに織り込まれており、だからこそ他の業種と比較して大きな上昇余地がある」と指摘する。

一方、アバディーン・スタンダードのクロニン氏によると、新型コロナ感染第2波とそれに伴う再ロックダウン(封鎖)が起きるか否かに左右される与信コストが重要で、この方向性を見極めたい考え。「ストレステストと与信(コスト)がある程度はっきりするまで、短期的には、株価が大幅に上がるのはかなり難しいだろう」という。

成長株 (IGX)からバリュー株 (IVX)への循環物色の持続性に疑問を投げ掛けるのは、キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズの調査責任者フレッド・キャノン氏だ。銀行利益が金利上昇に負う面があり、低金利がかなり長期化すると見込まれる以上、株価の上昇は限定的になると予想している。

(Sinéad Carew記者)

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