Investing.com - 国際通貨基金(IMF)が世界成長率を下方修正することが予想される中、今週の投資家の注目の主な経済指標は米国のコロナウイルス感染者数の増加であろう。また今週発表されるユーロ圏と英国のPMIは引き続き縮小の領域にあり、回復は鈍いことが予想されている。一方、26日(金)FTSE はラッセルの年次指数調整を行う予定である。本記事では、今週注目すべきポイントを5つ紹介する。
いくつかの州で新型コロナウイルス感染者が急増
米国のいくつかの州(主に南部と西部)での新型コロナウイルス感染者の増加は、経済再開を期待していたマーケットの重荷となるだろう。
20日(土)、トランプ米大統領は新型コロナウイルスの検査数を減らすように指示したことが分かった。同氏は「新型コロナ検査数が増えれば、感染者も増える。もろ刃の剣だ」と説明している。
ロイターのデータによると、これまでに11万9600人以上の米国人がウイルスで死亡している。
先週19日(金)、米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者2人は、ウイルスの封じ込めが不十分であることから、失業率は再び悪化しかねないと警告している。
IMF、世界成長率をさらに下方修正
今週24日(水)に発表される予定の最新の世界成長率の見通しは、4月に発表した前回の予測よりもさらに悪化すると予想されている。
4月時点では世界経済は1930年代の大恐慌以来最悪の危機に見舞われるだろうと述べ、マイナス3%の縮小を予想していた。24日の経済見通しでは4月時点より「悪い可能性」があるとされている。
IMFのチーフエコノミストであるギータ・ゴピナス氏は先週16日(火)のブログ記事で、「大恐慌以来初めて、先進国経済も新興国経済も2020年には景気後退に陥るだろう。6月の世界経済見通しでは、以前の予測よりもさらに悪いマイナス成長率が示される可能性が高い」と述べた。
ゴピナス氏は、現在の危機は「世界がこれまでに経験したことのないものである」と警告している。
住宅データ、耐久財、新規失業保険申請件数に注目
5月の新築住宅販売件数と中古住宅販売件数、そして耐久財受注があるものの、米国の経済指標としては材料が少ない一週間となる。
中でも25日(木)の新規失業保険申請件数は、経済の健全性を測るに最も注目されるだろう。
新規失業保険申請件数は減少しているもののペースは停滞しており、新型コロナの不況からの回復が長期化するという見方が増えている。
また25日(木)に1-3月期のGDP(確定値)を発表する予定である。
改定値と同じ前期比マイナス5.0%と予想されている。
ユーロ圏、英国PMIデータ
ユーロ圏では22日(月)の消費者信頼感が、経済再開のセンチメントを測る指標となる。23日(火)の6月のPMIデータも注目されている。5月のPMIデータは、4月よりも良かったものの、製造業とサービス業はいずれも引き続き縮小の領域にあった。
英国も今週PMIデータを発表するが、製造業とサービス業の両セクターで反発が予想されているものの、50を大きく下回る水準にとどまると予想されている。
FTSEラッセル年次指数調整
FTSEラッセルは、26日(金)に年次指数調整を行う。毎年6月の第4金曜日、市場終了後に年次指数調整が行われている。
大型株指数のラッセル1000指数<.RUI>や小型株指数のラッセル2000指数<.RUT>の採用銘柄の見直しが行われる。
ファンドマネージャーは、この見直しによる新たなウエートに合わせてポートフォリオを調整することになる。またバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、リモートワークへのシフトで株価が上昇しているZoom Video Communications Inc (NASDAQ:{ZM)、Slack (NYSE:WORK)とCrowdstrike (NASDAQ:CRWD)のような企業がラッセル1000に採用されることを予想している。