By Noreen Burke
Investing.com -- 米国の南部と西部の州で新型コロナの感染者の急増は、今週もリスクセンチメントの主要な要因となるだろう。
経済指標の主なイベントは、7月2日(木)に発表される6月の米雇用統計である。前回に引き続き、雇用の増加が継続するかどうかが焦点だろう。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月開催のFOMC議事録を公表する他、FOMCメンバーによる講演が複数行われる。
また今週は米中の地政学的緊張の高まりの懸念や、イングランド銀行によって緊急の金融刺激策に対する出口戦略の転換の考えを示すかどうかなどが今週の注目材料となりそうだ。本記事では今週注目するべき5つのポイントを取り上げる。
米国で新型コロナウイルス感染者が急増
ロイターによると、フロリダやアリゾナを含む5つの米国の州は、27日(土)に新型コロナウイルスの感染者数が1日あたりで最高を記録したという。
米国で確認された感染者数は、世界の総感染者数の4分の1である250万人以上に達している。
感染者数が再急増している南部と西部の州は、ロックダウン(都市封鎖)が初期に解除が行われた地域である。
新型コロナウイルスの第2波は経済再開の妨げとなり、今後数週間におけるさらなる景気刺激策への期待にも慎重な姿勢となることだろう。
米政府と議会は3月、失業給付を週600ドル加算する特別措置を発動したが、これは7月末で終了する予定になっている。
さらなる景気刺激策がなければ、「経済の見通しはおそらく変更しなければならないだろう」とモルガン・スタンレーの米国株式チーフストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は述べている。
6月の非農業部門雇用者数(雇用統計)、ISM製造業データ
エコノミストは5月の雇用統計が250万人増というポジティブサプライズの結果を受けて、今回の6月の雇用統計では300万人の増加を予想している。
しかし2ヶ月連続の増加となっても、3-4月の約2200万人の失業に比べるとまだ回復とは言い難い水準だ。
今週7月1日(水)に発表を控えている{ISM製造業指数は、大幅反発すると予想されているが、50の水準に上昇したとしても年初の水準より大幅に低いことになりそうだ。
30日(火)には消費者信頼感指数(6月)が発表され、7月2日(木)は週次の新規失業保険申請が雇用統計(6月)と同時に発表される。
FOMC議事録、メンバーの発言
パウエルFRB議長とムニューシン長官は30日(火)、下院金融サービスの会合でパンデミック救済策に関する証言が予定されている。
他方、7月1日(水)には6月開催分のFOMC議事録を公表する。また、{ウィリアムズ米NY連銀総裁は30日(火)に国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事と討論会をする予定である。同日、ブレイナードFRB理事もブルッキングス研究所とミシガン大学が共催するウェビナーでドッドフランク法について講演する。
米中の地政学的緊張
中国の全人代(全国人民代表大会常務委員会)が28-30日に開催され「香港国家安全維持法案」が、30日までの会期中に可決される見通しが強まっている。
また米国のマイク・ポンペオ国務長官は26日(金)に、香港の自由を侵害する中国共産党の当局者に対し、ビザ(査証)の制限措置をとると発表している。
先月では、トランプ米大統領は米国が香港に与えていた優遇措置を解除する指示をしたことを明らかにしている。
米国と中国の緊張の高まりは第一段階合意を破棄する可能性を高め、新型コロナウイルスの影響とともにマーケットの大きな材料となっている。
イングランド銀行は出口戦略の大幅な転換か?
イングランド銀行(英中央銀行)は6月18日に債券購入プログラムを1000億ポンド拡大すると発表し、イングランド銀行のベイリー総裁とチーフエコノミストのアンドリュー・ホールデン氏の発言が引き続き注視されている。
この債券購入プログラムは多くのエコノミストに予想されていたものであったが、このプログラムは年末まで続く見通しという発言はマーケットへのサプライズとなった。
ベイリー総裁は22日、過大な債権購入プログラムへの懸念を背景に、利上げに動く前にバランスシート縮小する方が望ましいという構想の考えを示している。今後の発言でこの考えを確かめる必要があり、今後の大きな材料となりそうだ。