[香港 31日 ロイター] - 香港の6月の民間住宅価格は0.1%上昇した。前月の2.2%上昇から伸びが鈍化した。新型コロナウイルスの流行や政治の先行き不透明感が背景。
香港の住宅市場は今年、不安定な値動きが続いている。2月と4月は下落、その他の月は上昇しており、上半期では1.8%上昇した。
不動産コンサルティング会社ナイト・フランクのエグゼクティブディレクター、トマス・ラム氏は「現在の不動産市場は非常に奇妙だ。住宅価格は高止まりしているが、賃料は景気低迷ですでに低下している」と指摘した。
6月は、中国政府の香港国家安全維持法を巡る懸念で、住宅価格が伸び悩んだ。
複数の不動産代理店によると、7月初旬に新型コロナの感染が再拡大し、市場心理が悪化。社会的距離を保つ政策を受けて、マンションの見学者が減った。
ラム氏は、景気後退に伴い、第4・四半期に消費者の購買力低下が鮮明になり、住宅価格に下落圧力がかかると予想している。
ただ不動産代理店によると、累積需要は多く、金利も低いため、住宅価格が大幅に調整する可能性は低い。
不動産開発大手ハンルン・プロパティーズ (HK:0101)は30日、新型コロナの流行で上期の住宅取引件数が減少したと表明。今後さらに調整が起きる可能性があるとの見方を示した。