[30日 ロイター] -
<為替> 米国の追加財政政策に対する期待が高まっていることで安全通貨としてのドルの需要が減退し、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドルが対ドルで2018年4月以来の高値を付けた。ただクリスマスと新年の間にはさまれ、商いは薄かった。
新型コロナウイルス救済法案を巡っては、議会下院が28日、トランプ氏が要求する現金給付の600ドルから2000ドルへの引き上げに関する法案を賛成多数で可決。しかし、共和党上院トップのマコネル院内総務は29日、増額法案の採決を見送った。
ただこうした中でも、一段の景気刺激策に対する楽観的な見方は継続。さらに、新型ウイルスワクチン実用化で経済見通しが改善するとの期待も後押しになっている。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は89.65と0.39%低下。一時は89.56と、18年4月以来の安値を付けた。年初からは約7%低下している。
ユーロは対ドルで一時0.34%高。豪ドルは対米ドルで0.93%、ニュージーランドドルは0.74%、それぞれ上昇。3通貨とも、対米ドルで18年4月以来の高値を付けた。
ドルは対円で0.19%安の103.23円。17日には102.86円と、9カ月ぶり安値を付けている。
英ポンドは対ドルで0.87%高の1.3618ドル。英下院はこの日、政府が欧州連合(EU)と合意した自由貿易協定(FTA)を承認。EU離脱移行期間の年内終了を控え、双方が新たな関係を始める準備が整った。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2万8917ドルと、過去最高値を更新。年初からの上昇率は300%を超えた。
<債券> 月末を控えたポートフォリオ調整で長期債が買われ、利回り格差が縮小した。
30年債利回りは1.4ベーシスポイント(bp)低下の1.660%。5年債との利回り格差は129.5bpに縮まった。序盤には131.2bpに拡大していた。
10年債利回りは1bp低下の0.925%。2年債との利回り格差は80.3bpとなった。
この日の利回り曲線は午後に入ってフラット化。アジアと欧州時間に米国債は買われ、米国時間に入って売りが強まっていた。ブラウン・アドバイザリーの債券部門責任者、トム・グラフ氏は、こうしたトレンドは3日目で、「米国のトレーダーはかなり退屈な2021年に賭け始めているのだろう。彼らはFRBが動かなくても何も変わらないとみている」と指摘。
一方で、米国以外のトレーダーは、この日署名された英国と欧州連合(EU)の通商協定や米コロナ救済法案などを巡り懸念している可能性があると述べた。
この日は薄商いで、今週の欧米市場はこの流れが続くとみられる。大みそかは欧州の一部市場が、元旦は全ての市場で休場となる。
<株式> 小幅高となり、ダウ工業株30種は73ドル高で取引を終えた。新型コロナウイルスワクチンの展開や追加財政刺激策への期待が広がる中、来年の景気回復を先取りする動きとなった。
共和上院トップのマコネル院内総務はこの日、下院がすでに可決した現金給付を600ドルから2000ドルに引き上げる法案について、上院での早期採決に難色を示した。
英政府は30日、英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナワクチンを世界で初めて承認した。これを受けてワクチン展開への期待が高まった。
年末を迎え、取引は全般的に控えめだった。
S&P総合500種指数は年初から15.5%高。今年のS&P総合500種採用企業の配当金は1株当たり58.28ドルと、前年から0.7%増加し、9年連続で過去最高を更新したことがS&Pグローバルの調べで分かった。
ハイテク株の多いナスダック総合指数は2009年以来の大幅な値上がりとなる見込みだ。
業種別では11業種中8業種が値上がりし、エネルギーや素材などが好調だった。
クレジットカード大手のマスターカードは2.6%高。スティーブンスは、クロスボーダー決済を巡る心理改善が期待できるとして、目標株価を引き上げた。
<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、続伸した。中心限月2月物の清算値は前日比10.50ドル(0.56%)高の1オンス=1893.40ドル。この日の外国為替市場では対ユーロでドル安が先行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金への買いが入った。新型コロナウイルスに対応した米追加経済対策が成立したことで、インフレヘッジとして買われた面もある。
英国などで拡大している新型コロナの変異種の感染者が米西部コロラド州で初めて確認されたことも、投資家のリスク回避姿勢を強め、安全資産としての金買いにつながったとの見方もあった。
<米原油先物> 米原油在庫の大幅減少を好感した買いなどを受けて、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値は前日比0.40ドル(0.83%)高の1バレル=48.40ドル。3月物は0.36ドル高の48.50ドルとなった。
相場は朝方から売り買いが交錯する展開。米エネルギー情報局(EIA)が30日午前に発表した週報によると、25日までの1週間の米原油在庫は前週比610万バレル減と、市場予想の260万バレル減を大きく上回る取り崩し。ガソリン在庫も170万バレルの増加予想に反して、120万バレル減少した。この報を好感して、相場は一時48.66ドルまで上昇。高値圏では、利益確定の動きや過剰在庫懸念を受けた売りが出たが、下値では買い戻しも旺盛だった。
ドル/円 NY終値 103.17/103.20
始値 103.12
高値 103.35
安値 102.97
ユーロ/ドル NY終値 1.2295/1.2299
始値 1.2272
高値 1.2309
安値 1.2271
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*06.00 1.6596%
前営業日終値 98*27.50 1.6740%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.50 0.9264%
前営業日終値 99*14.00 0.9350%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.75 0.3703%
前営業日終値 99*31.75 0.3770%
2年債(指標銘柄) 16時15分 100*00.00 0.1250%
前営業日終値 99*31.88 0.1270%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30409.56 +73.89 +0.24
前営業日終値 30335.67
ナスダック総合 12870.00 +19.78 +0.15
前営業日終値 12850.22
S&P総合500種 3732.04 +5.00 +0.13
前営業日終値 3727.04
COMEX金 2月限 1893.4 +10.5
前営業日終値 1882.9
COMEX銀 3月限 2657.3 +35.6
前営業日終値 2621.7
北海ブレント 2月限 51.34 +0.25
前営業日終値 51.09
米WTI先物 2月限 48.40 +0.40
前営業日終値 48.00
CRB商品指数 166.6791 +1.3049
前営業日終値 165.3742 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20201230T223026+0000