[ワシントン 27日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は27日に公表した国際金融安定性報告書(GFSR)で、世界の中央銀行が緩和的な政策を維持するとの観測で金融市場には「慢心感」が出ており、急激な調整が入るリスクが存在していると警告した。
新型コロナウイルスワクチンの接種開始で世界的な景気回復への期待が膨らみ、感染拡大に歯止めがかからず景気見通しを巡る不確実性が根強いにもかかわらず、資産価格が押し上げられていると指摘。市場に調整が入れば、企業債務の増大などで金融が一段と脆弱になる恐れがあるとし、政策担当者は調整リスクに備える必要があるとした。
同時に、ワクチン接種が予定通りに進まなければ世界的な景気回復が頓挫する恐れがあるとし、景気が持続的に回復し始めるまで景気支援策が継続される必要があるとした。
このほか、先進国が新型コロナワクチンを自国民のために確保し、途上国に十分に行き渡らない状況は、世界的な金融安定を損なう要因になる恐れがあると指摘。西側諸国で景気が回復し、金融政策が正常化されれば、新興国や途上国への資本流入が滞り、資金調達費用が増大する恐れがあるとも警告した。