[東京 14日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のオッドパー・ブレック副局長は、東京オリンピック(五輪)の中止や延期は日本経済にそれほど打撃を与えることはないが、悪影響が大きい中小企業に的を絞った政府による支援が必要になる可能性があるとの見方を示した。
同副局長は13日の書面インタビューで、「日本は経済規模が大きく多様性もあることから、オリンピックの計画が変更されても、短期的な成長見通しへの影響は総じて限定的だ」と述べた。
オリンピックに必要なインフラの大半はすでに整備されており、インバウンド観光がなくなることの成長への打撃は小さいと指摘。その上で「中止された場合、東京のサービス部門、特に中小企業に過度の影響を与えることに留意すべきだ」と語った。
調査に基づく分析によると、オリンピック中止によりこれらの企業は売上高の伸びが5%以上押し下げられる可能性があり、政府による支援が必要となる可能性があるとの見方を示した。
IMFは今月発表した世界経済見通しで、今年の日本の成長率予想を3.3%に引き上げた。堅調な輸出と大規模な財政出動が成長を下支えすると見込んだ。
副局長は「全ての国と同様、日本の成長見通しには、国内外の新型コロナの状況やワクチン接種を巡る不透明感に起因する著しい下振れリスクが伴う」と述べた。
日銀の政策点検については、緩和長期化のコストに取り組むための「正しい方向への一歩」として歓迎。一方で、新型コロナウィルスのパンデミックと金融緩和の影響を弱める低い潜在成長率により、インフレは中期的に2%を下回るだろうと指摘。
「持続可能な経済成長と2%のインフレ目標達成に向け、金融、財政、構造、規制緩和などの総合的な経済政策がどう作用するか、より広範な評価が将来的にはおそらく必要になる」と述べた。
日銀は3月、マイナス金利を深掘りした場合の副作用軽減対策を新設したが、ブレック副局長は日銀が深掘りする可能性は低いとし、「このスキームは、日銀がマイナス金利深掘りの準備ができていることを示唆しており、それ自体がフォワードガイダンスの一助を表している。しかしデフレ圧力が強まらない限り、近い将来に金利が引き下げられることはない」と語った。
*日本の成長見通しについて追加して再送します。