[ソウル 27日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は27日、市場の予想通り、政策金利を過去最低の0.50%に据え置いた。経済成長率とインフレ率予想は上方修正した。
ロイター調査では26人のアナリスト全員が据え置きを予想していた。
中銀の李柱烈総裁は会見で、インフレが加速し、金融面で不均衡が拡大する中、新型コロナウイルス危機を受けて継続してきた緊急的な刺激策の縮小を準備していると発言。「マクロ経済環境と金融の安定性が変わる中で、今後は秩序だった方法で金融政策を調整していくことが重要任務となる」と述べた。ただ、政策調整のタイミングは正確には示せないとした。
中銀は今回、2021年の経済成長率見通しを4.0%と、2月時点の3.0%から引き上げた。2010年以来の高成長となる。インフレ率は1.3%から1.8%に上方修正した。
市場では、中銀のタカ派的な見解を受けて早期利上げ観測が浮上。ただ、今回の金利据え置き決定は全会一致だったとする総裁の説明で、観測はやや後退している。
教保証券の債券担当アナリスト、Paik Yoon-min氏は「投資家は予想より速いペースでの利上げを期待していたが、現時点では中銀が年内いっぱい金利を据え置き、状況を見極める可能性が高いとみている」と指摘した。同氏は2022年下半期の利上げを見込んでいる。
李総裁は、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めより前に韓国中銀が利上げする可能性があるか問われると、「国内の経済状況に応じて金融政策を決定する方が適切だ」と答えた。
総裁は3月に、好調な半導体輸出と消費の拡大により力強い回復を見込んでいると述べている。文在寅大統領は今月、今年の成長率は4%を上回るとの見通しを示した。また、新型コロナの感染が拡大する中、必要なら雇用支援に向けさらなる財政出動を行うと表明した。
4月の輸出は10年超ぶりの大幅な伸びを記録し、インフレ率も約4年ぶり高水準だった。インフレ期待が高まる中、他の主要国同様、緩和策の解除時期が焦点となっている。
ロイターが実施した調査によると、大半のアナリストは、2022年中に韓国中銀は少なくとも1度は利上げを行うと予想している。