[ウェリントン 23日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)の高官は23日、新型コロナウイルスのデルタ株流行は「流れを変えるもの」ではなく、金融政策に圧力はかかっていないと述べた。
中銀チーフエコノミストのYuong Ha氏は、ロイターとの電話インタビューで「現段階では、われわれの基本的な経済分析・見解を捨て、初めからやり直すという意味で流れを変えるものとはみていない」とし、「1年前とは状況が違う」と述べた。
ただ同氏は、国内で感染力の強いデルタ株が確認され、経済に一定の不透明感が出ているとの認識も示した。
中銀は先週の政策決定会合で、大方予想されていた利上げを見送り、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を0.25%に据え置いた。中銀は声明で「今日の決定は、政府が全土でレベル4の制限措置を課したことを受けたものだ」と説明したが、中銀当局者は引き続き年内の利上げを見込んでいる。
Ha氏は「デルタ株の感染力を踏まえれば当然、一定の不透明感が生じる可能性があるが、ある時点で金融緩和を取り除くべきという評価は現時点で依然われわれの考えの背景にある」と述べた。
ニュージーランドは新型コロナ封じ込めに成功したことで景気が好調に回復し、インフレが加速。アナリストは年内少なくとも2回の利上げを見込んでいた。だが、足元の感染拡大を受けて引き締め時期の後ずれを予想する見方も多く、10月6日の次回会合では60%の確率で据え置きが見込まれている。
NZ中銀の金融政策に圧力がかかっているかとの質問にHa氏は「そうは思わない。選択肢という点でわれわれは非常に良い立場にある」と答えた。
また、中銀は過去のロックダウンから、需要や家計消費がかなり急回復することを学んでおり、現在の局面でも実施されている財政支援の水準を踏まえるとなおさらだと指摘。「これまでのパターンが繰り返されるという自信になっている」と語った。
通貨は有益な「衝撃吸収材」との認識も示し、金融政策の観点からNZドルの動きに懸念はないとコメント。「(NZドルは)通常通りの動きをしている」と述べた。