[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表したデータに基づきロイターが算出した8月の主要70都市の新築住宅平均価格は前月比0.2%上昇と、伸び率は前月の0.3%から鈍化し、昨年12月以来8カ月ぶりの低水準となった。不動産市場の過熱抑制策が需要に影響を与えた。
前年比では4.2%上昇。7月の4.6%上昇から鈍化し、1月以来の低い伸びとなった。
中国当局は今年、住宅価格上昇や不動産市場のレバレッジを抑制する対策を強化し、不動産開発業者の債務比率に上限を設けるなどの措置を取っている。8月に住宅購入規制や転売価格の上限制限など対策を強化したのは、北京市をはじめ20市以上となった。
こうした措置により不動産購入ペースは鈍化し、一部の開発業者は流動性逼迫の打撃を受けている。
中国の不動産開発2位の中国恒大集団の債務問題も市場に影を落としている。
新築住宅価格の伸びは1級都市よりも格下の都市のほうが鈍かったが、大都市の一つである広州では住宅価格が昨年3月以来初めて、前月比で下落した。
易居中国(イーハウス・チャイナ)の厳躍進氏は「不動産市場は今年の第3・四半期に大きく冷え込んだ」と指摘。「与信方針の厳格化継続と取引量低下が価格上昇率の明確な鈍化につながった」と分析した。
前月比で住宅価格が上昇したのは70都市中46都市となり、7月の51都市から減少した。
国家統計局が別途発表したデータに基づきロイターが算出した8月の不動産投資は前年比0.3%増加と、7月の1.4%増から鈍化し、18カ月ぶりの小幅な伸びとなった。
野村は調査ノートで、現行の不動産価格抑制策が短期的に緩和される可能性は低いと指摘。中国政府は不動産バブルの抑制を国家戦略上、重要と見なしているからだと説明した。
格付け機関ムーディーズは今月、資金調達状況が厳しくなっていることから、中国の不動産部門の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
当局は、手頃な価格の住宅の供給を増やし、賃貸コストの上限設定に動いている。
住宅都市建設省の倪虹次官は8月31日、各都市の家賃について年5%を超えて上昇するべきではないとする指針を示した。