[ミュンヘン/ベルリン 21日 ロイター] - 独南部バイエルン州のゼーダー州首相は21日、ドイツが直面する最大の課題はインフレだとし、欧州中央銀行(ECB)は利上げの準備を整える必要があるとの考えを示した。ゼーダー氏はメルケル首相の盟友。連邦選挙を目前に控えこうした発言を行ったことに波紋が広がっている。
ゼーダー氏はミュンヘンで記者団に対し、政策担当者は物価上昇を抑制し、家計がインフレ高進で受ける影響を緩和する措置を策定する必要があると指摘。独連銀が国内インフレ率は年内に5%まで上昇するとの見通しを示していることに触れ、ECBは「行動を起こす必要がある。ゼロ金利政策からの慎重な出口戦略が必要だ」と述べた。
メルケル首相のほか、社会民主党(SPD)のショルツ財務相は、ECBの独立性を尊重する必要があるとして、ECBの政策に対する直接的な発言は控えている。
ゼーダー氏の発言について、ドイツ経済研究所(DIW)のマルセル・フラッシャー所長は、選挙を控えた「政治的動議に基づく脅し戦略」と指摘。発言内容はECBと独連銀の独立性を損ねるリスクがあるとし、「政治家がユーロと金融政策を政治的に利用しようとすれば、結果的にユーロとユーロ圏市民が被害を受ける」と警告。インフレ高進は一過性のものであるため、物価についてパニックを起こす必要はないと述べた。