[ワシントン 28日 ロイター] - イエレン米財務長官は28日、上院銀行委員会の公聴会で証言し、米経済が新型コロナウイルスのデルタ変異株流行に伴う向かい風に直面しつつも、来年には完全雇用を回復する可能性があるとの見解を示した。さらに、連邦債務上限を迅速に引き上げるよう改めて要請した。
イエレン長官は準備原稿で、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴う景気後退(リセッション)からの回復は「脆弱ではあるものの迅速」と指摘。「米経済の拡大は継続し、2020年に失われた雇用のかなりの部分を取り戻しているが、デルタ変異株がもたらす大きな課題は引き続き回復ペースを抑制し、力強い経済への著しい障害となっている」と述べた。
その上で「引き続き中期的な経済の道筋を楽観視しており、来年には完全雇用に回帰する」という見通しを示した。
また、債務上限が引き上げられず債務不履行に陥れば、米国に対する全幅の信認や信用は失墜し、「金融危機や景気後退に直面する公算が大きい」と警鐘を鳴らした。超党派での債務上限引き上げを引き続き望んでいるとも付け加えた。
イエレン長官は議会指導部に宛てた書簡でも、10月18日までに債務上限の引き上げ、もしくは上限適用の凍結が決定されなければ、18日時点で「財務省には非常に限られたリソースしか残っておらず、すぐに枯渇する」見通しと強調。「それ以降に米国のコミットメント果たすことが可能かは不確定」とし、経済に対する「深刻な被害」回避に向けて行動するよう促した。
手元資金のやり繰りを巡って財務省が行っている臨時措置について、正確な日数は変わる可能性があるものの約20日後に限界を迎えるとの見通しを示した。
同じく上院銀行委員会の公聴会で証言した米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長もデフォルト(債務不履行)回避に向け債務上限を引き上げるよう議会に要請した。