[香港 29日 ロイター] - 経営危機に陥っている中国の不動産大手、中国恒大集団が29日に再び米ドル建て社債の利払い日を迎えるのに伴い、投資家は市場が再び動揺に見舞われる可能性に身構えている。
この日は2024年3月償還債に対する4750万ドルの利払いの期日。同社のオンショアおよびオフショア社債で年内に償還期限を迎えるものは残っていないが、12月28日までにオフショア債に対して計5億4757万ドルの利払いを行う必要がある。
恒大集団は29日、保有する盛京銀行の株式17億5000万株を99億9000万元(15億ドル)で売却すると発表。盛京銀は株式売却による収入全額を同行グループに対する関連債務返済に充てるよう求めているという。
こうした動きは、恒大集団が海外の社債保有者よりも国内の債権者を優先する姿勢を改めて浮き彫りにした。
同社の広報担当者はロイターのコメント要請に応じていない。
同社のオフショア債保有者のアドバイザーは、債権者は様子見姿勢を取っていると説明。先週に続き、おそらく今回も期限までに利払いは実行されないとの見方を示した。ただ、30日の猶予期間があるとして、それは同社に利払いの意向がないことを意味しないとした。
恒大集団の債務不安で今月、世界の株式市場は総崩れの様相を呈した。
その後、投資家の一部は債務上限を巡る米議会の攻防や米国債利回り上昇に焦点を移した。恒大が負のサプライズをもたらした場合、株式市場で弱気派が勢いを増す可能性がある。
恒大が抱える負債は3050億ドルに上り、この過剰債務問題が中国の金融システムに波及し、世界に影響が広がる可能性が懸念されている。
中国人民銀行(中央銀行)は27日、住宅市場にさらされている消費者を保護すると表明し、銀行システムにさらなる流動性を供給した。深セン市の当局は恒大の理財商品関連部門の調査に着手しており、当局が悪影響を抑えるために動く兆しが強まった。
これらを好感し、ここ数日は本土系不動産株に対するセンチメントは改善し、中国恒大の株価は29日、一時15%上昇した。
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