[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は19日、高インフレが年末まで続くなら、FRBはインフレ抑制に向け「より積極的な政策対応」を実施する必要があるかもしれないと述べた。
スタンフォード大学経済政策研究所での講演で、直近の新型コロナウイルス感染拡大は最悪期を脱したと指摘。労働力不足など供給上の問題は時間の経過とともに緩和され、「インフレ加速は一過性のものになる」とし、インフレ率は来年、FRBの目標である2%に再び落ち着くと予想した。このため、FRBによる利上げは「まだしばらく先だ」との見方を示した。
一方で、リスクが変化しており、現在の急速な物価上昇が続くかもしれないという「大きな懸念」を抱いていると言及。「これまでの高インフレが一過性かどうかを見極める上で今後数カ月が重要」との認識を示し、インフレ率が年内高止まりすれば、「2022年にはテーパリング(量的緩和の縮小)だけではなく、より積極的な政策対応が正当化されるかもしれない」と語った。
インフレ率が22年に入っても5%で推移した場合、連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による政策金利見通しであるドットチャートで利上げ予想が前倒しされ、22年に1回以上の利上げを見込むようになる可能性があるとした。
「われわれは(責務のうち)雇用の部分について心配することもできるが、インフレ期待が不安定化した場合、雇用を脇に置いてインフレ期待を再び定着させる必要がある。これが全てのことを左右するからだ」と強調した。
<テーパリングは来月開始を>
ウォラー氏はテーパリングについて、米経済は準備ができているとし、来月に開始し、来年半ばまでに終了すべきだとの考えを示した。失業率がコロナのパンデミック(世界的大流行)下で付けたピークの14.8%から4.8%まで低下したのは、労働市場がコロナ前の強さを近く取り戻す可能性を示していると説明した。
また「消費者が価格上昇を受け入れているように見えるため、企業はここ数年で最も価格決定力が高まっていると報告している」とし、「中古車価格や食品価格、エネルギー価格、インフレ期待に関する家計調査など一連のデータを取捨選択する際には注意が必要だ。データを異常値と見なすことについては警戒すべきだ」とした。
このほか、高インフレが想定以上に長引く可能性がある一方、労働市場は引き続き改善しており、1970年代のようなスタグフレーションに陥る可能性は低いと強調した。
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