[東京 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、中国経済に関する年次審査終了後に声明を発表し、中国は金融リスクに「明確かつ協調的な方法」で対処すべきとの見方を示した。財政政策については、今年の緊縮的なアプローチから一時的に中立的にシフトすべきと指摘した。
「中国の回復はかなり進んでいるものの、均衡が取れておらず勢いは失速しており、同時に下振れリスクが増している」とした。
減速の理由としては、政策支援の急速な縮小や、新型コロナウイルス感染拡大による消費への打撃、最近の電力不足、不動産投資の減速などを挙げた。
「財政政策は今年、著しく緊縮的になっているが、一時的に中立にシフトして社会保障を強化するとともに、伝統的なインフラ支出よりも環境投資の促進に重点を置くべき」とした。
銀行システムの強化に向けた「包括的な銀行再編方針」に加え、市場開放や国有企業改革に取り組む必要があるとも述べた。
また、高水準の企業債務に対処する現在の取り組みと併せて「市場原理に基づく破産・整理の枠組み」を確立すべきと指摘。
情報技術(IT)セクターへの規制強化にも触れ、政策の不確実性を高めたとした。
IMFは中国の今年の経済成長率を8.0%、来年は5.6%と予想しているが、見通しへの下振れリスクが「増大している」との見解を示した。