[ブラジリア 2日 ロイター] - ブラジル地理統計院(IBGE)が2日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.1%減となり、ロイターがまとめたゼロ成長というアナリスト予想中央値を下回った。インフレの急進と深刻な干ばつが景気後退(リセッション)の引き金となった。
景気は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による最悪の状況から脱したものの、インフレ率が2桁台に急上昇し、中央銀行が借り入れコストの積極的な引き上げを余儀なくされている中で停滞している。
経済の逆風は、2022年の再選を目指すボルソナロ大統領の支持率低下を招いている。
今年第2・四半期のGDPは、前回発表の前期比0.1%減から0.4%減へ下方修正された。2四半期連続の減少は、景気後退の定義に当てはまる。
今年は例年になく乾燥した天候が続き、トウモロコシやコーヒーなどブラジルの主要作物に打撃を与えている。水力発電所の貯水量が減少したことで電力コストが上昇し、価格面への打撃に拍車を掛けている。
第3・四半期の農業生産高は8.0%減、工業生産高は横ばい、サービス部門は1.1%増だった。
キャピタル・エコノミクスの新興市場担当チーフエコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「金融引き締めと数年来の高水準のインフレ率により、サービス部門が弱体化する可能性が高い」と分析。弱い経済指標を受け、中央銀行は来週の政策決定会合で利上げペースを維持し、一部で予想されていたような大幅な利上げを回避する可能性があるとの見方を示した。
一部のエコノミストは、来年の景気後退がより深刻になると警告している。
中央銀行のエコノミストに対する22年の経済成長率の市場予想は0.6%未満となり、6月調査の2.3%から落ち込んだ。
ブラジル経済省は2日の声明でこの予想を否定し、来年の経済成長率が2%超になるとの見通しを再確認するとともに、経済が回復力のある証拠として最近の雇用創出データを例示した。
第3・四半期の失業率は12.6%と、新型コロナのパンデミック発生以来の最低水準を記録した。前四半期の14.2%から低下した。
IBGEのデータによると、第3・四半期のGDPの前年同期比は4.0%増となり、アナリスト予想中央値の4.2%増を下回った。