[ムンバイ 8日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は8日、政策金利のレポレートを過去最低の4%に据え置いた。リバースレポレートも3.35%に据え置いた。
インフレや新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が経済活動に悪影響を及ぼす可能性を指摘し、成長が最優先事項だと表明した。
ダス総裁は記者会見で「現段階での最優先事項は成長の復活だ。物価の安定もわれわれの関心事で、現時点で物価安定の必要性を見失うことなく、成長に集中する」と述べた。
中銀は、新型コロナの流行を受け、昨年3月以降、レポレートを計115ベーシスポイント(bp)引き下げている。
今回、緩和的な政策スタンスは維持したが、銀行システムの余剰流動性を吸収する計画の大枠を示し、来年初めにも利上げする可能性がでてきた。
ロイターの調査によると、エコノミスト50人全員はレポレートの据え置きを予想していたほか、2022年下半期よりも前の変更を見込んでいない。
リバースレポレートに関する調査に回答した41人のうち、4分の1は引き上げを予想していた。
ダス総裁は「経済に緩みがあり、経済活動のキャッチアップが続いている、特に個人消費はパンデミック前の水準を依然下回っていることを考慮すると、継続的な政策支援は持続的かつ広範な回復のためには正当化される」と説明。新型コロナウイルスの新変異株による混乱は回復を遅らせるリスクがあると述べた。
総裁によると、金融政策委員会(MPC)は政策金利のレポレートに関して現状維持を全会一致で決定したほか、5対1の過半数で緩和的な政策スタンスの維持を決めた。
コタック・インスティテューショナル・エクイティーズのシニアエコノミストは、オミクロン株に起因する不確実性を考慮したとみられ、予想以上にハト派と評価。その上で、オミクロン株がさほど毒性が高くなければ、来年2月に主要借入金利のリバースレポレートを20bp程度引き上げ、流動性の吸収を若干加速させるとの見方を示した。
<経済見通しを維持、流動性調整を継続>
中銀金融政策委は、今年の成長率予想を9.5%、消費者物価上昇率予想を5.3%でそれぞれ据え置いた。
インフレ率はここ数カ月、中銀の目標レンジ(2─6%)内に収まっている。しかしダス総裁は、インフレが目先加速する可能性があり、コアインフレ率の高止まりが懸念要因と述べた。
中銀は予想通り、銀行システムの過剰流動性の調整に向け、変動金利リバースレポ(VRRR)入札を整備拡充する方針を示した。
ダス総裁は「中銀は引き続き、混乱を起こさない形で流動性のリバランスを継続すると同時に、生産的セクターのニーズに応じて十分な流動性を維持していく」とし「期間14日のVRRR入札を主要な流動性管理オペレーションとして再構築するのが目的だ」と述べた。
総裁は、インド経済は回復軌道の点で比較的良い位置にあるが、世界的な波及的影響やオミクロン株など新変異株の出現で感染が急拡大する可能性と無縁ではないと指摘した。