[28日 ロイター] - バイデン米大統領が連邦準備理事会(FRB)の銀行監督担当副議長にラスキン元FRB理事の起用を検討していると、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が28日、関係者の話として報じた。
報道によると、バイデン氏はFRB理事にミシガン州立大学のリサ・クック氏とデービッドソン・カレッジのフィリップ・ジェファーソン氏を指名することも検討している。両氏とも黒人のエコノミストで、FRB幹部の多様化を図る考え。クック氏が起用されれば、黒人女性として初のFRB理事となる。
ロイターは報道内容について確認できていない。ホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。ラスキン氏、クック氏、ジェファーソン氏からのコメントも得られていない。
銀行監督担当副議長のポストは、トランプ前大統領に指名されたクオールズ理事が10月まで務めていた。同氏は今月末で理事を退任する。
クオールズ氏に対しては、金融機関寄りとの批判が進歩派から上がっていた。ラスキン氏が就任すれば金融規制を巡りより厳しい姿勢を取る可能性がある。
進歩派はバイデン大統領に対し、2007─09年の世界的な金融危機後に導入され、クオールズ氏が緩和を進めた規制を強化する人物の指名を求めている。
銀行監督担当副議長の候補にはラスキン氏のほか、米消費者金融保護局(CFPB)の初代局長を務めたリチャード・コードレイ氏の名前も挙がっている。コードレイ氏もエリザベス・ウォーレン上院議員など金融機関に批判的な民主党議員の間で好意的な見方が多い。
一方、関係者によると、金融業界はアトランタ地区連銀のボスティック総裁を推しているという。
ラスキン氏は2010─14年にFRB理事を務めた後、財務副長官に就任した。当時、銀行監督には直接携わらなかったが、金融危機後にFRBが取り組んだ規制改革を巡り、金融機関の自己勘定取引に「実質的な経済価値は全くもしくはほとんどない」と批判するなど自身の立場を明確にした。「ボルカールール」についても厳格な解釈を提唱した。
新たに指名される理事は、FRBが米経済運営や新型コロナウイルス禍からの回復のかじ取りを迫られる重要な時期に就任することになる。
連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、ラスキン氏は理事を務めた4年間、ハト派寄りの立場を取っていたとみられる。