[ロンドン 5日 ロイター] - S&Pグローバル/CIPSが5日発表した4月の英国のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は58.9となり、新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大の悪影響が出ていた1月以来の低水準となった。3月は62.6だった。
企業が、少なくとも1990年代後半以降で最も広範囲にわたって値上げを実施したことが背景にある。
今回のデータは、イングランド銀行(英中央銀行)が直面している課題を浮き彫りにしている。S&Pグローバルのエコノミクスディレクター、アンドリュー・ハーカー氏は「生活費の危機とウクライナ戦争という2つの逆風は、4月に英サービス部門に影響を及ぼし始めた。新規受注の伸びが急激に鈍化し、今年に入ってから最低となったことからも明らかだ」と述べた。
3日に発表された4月の製造業PMIを含む総合PMIは58.2で、3月の60.9から低下した。投入価格の構成要素は1999年の集計開始後で最大となった。
政府発表の3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月より7.0%上昇し、伸び率は30年ぶりの大きさとなった。多くのエコノミストがエネルギー価格の高騰により、今年後半には上昇率が2桁に近づくと予想している。
しかし、賃金上昇のペースはインフレ高進に追いついておらず、3月に政府の予測担当者が1950年代後半に記録が始まって以来最大の生活費圧迫を予測した。
消費者信頼感指数は2008年7月以来の低水準に落ち込み、景気後退の前触れとなる可能性がある。
国際通貨基金(IMF)は、英国の23年の国内総生産(GDP)成長率が1.2%となり、主要7カ国(G7)で最も低い伸び率にとどまると予測している。
S&Pグローバルによると、企業は1月以来、最も遅いペースではあるものの、需要の高まりに対応するため人員増を続けている。一部の企業では人員不足によるプロジェクトの遅れが報告されている。
2月までの3カ月間の平均失業率は3.8%に低下し、1974年以降で最も低い水準に並んだ。