[ワシントン 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は29日、FRBの利上げが経済を過度に減速させるリスクはあるものの、消費者の物価上昇期待をあおる持続的な高インフレの方がより大きなリスクという見解を示した。
パウエル議長は欧州中央銀行(ECB)のフォーラムで「多様な衝撃が重なって高インフレ体制に移行し始めることがリスクであり、それを防ぐことがわれわれの責務だ」と強調。FRBがインフレ抑制のために景気を必要以上に減速させる「リスクはある」と認めつつも、「それがより大きなリスクという見方には同意しない。物価安定の回復に失敗することがより大きな間違いだ」と述べた。
また、米経済は引き続き「かなり堅調」で、景気後退や失業率の大幅な上昇を回避しつつ、よりタイトな信用状況に対応できるという認識を示した。
ただ、経済の「ソフトランディング(軟着陸)」への道筋は、高インフレが長引くほど「著しく困難」となり、消費者のインフレ期待が不安定化する可能性が高まると警鐘を鳴らした。
議長は「長期インフレ期待の深刻な不安定化を確認し始めれば、後手に回っていることになる」とし、「FRBは現時点で必要な措置を講じており、そのような状況に陥っていない」とした。