[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのナーゲル独連邦銀行(中銀)総裁は、南欧諸国の借り入れコストを押し下げようとするECBの取り組みに注意を促した上で、ECBはインフレ対応に焦点を当てるべきであり、そのためには現在想定されている以上の利上げが必要になるかもしれないと述べた。
ECBは先月に臨時会合を開催し、国債利回りの格差拡大によるユーロ圏市場の分断を防ぐ措置を検討すると表明した。
これに対し、ナーゲル総裁は、このような措置は条件と期間が綿密に定義された例外的な状況下でのみ行われるべきであり、常に有利な資金調達条件をECBが保証すると示唆することは避けるべきと主張。講演で「金融政策手段を用いてリスクプレミアムを制限することに対して警告する。なぜなら拡大したスプレッドが根本的に正当化されるかどうかを確実に立証するのは事実上不可能だからだ」と語った。
その上で、このような措置が本当に必要なら、一時的なものであることを厳守する必要があり、各国に持続可能な財政政策と債務水準の削減を実施するよう圧力をかけ続けなければならないとした。
また、このような措置は金融政策上の理由だけで正当化されなければならず、南欧諸国の国債買い入れは全体の政策スタンスに影響を与えないよう中立化されなければならないとした。
一方で、高インフレが最大の懸念事項とし、現在計画されている利上げでは不十分な可能性があるため、ECBはこの点に焦点を当てるべきと強調。ECBは月内に10年超ぶりの利上げを実施し、その後「中立」金利まで引き上げる見込みだが、「それさえも、中期的な物価見通しを2%目標に一致させるには不十分かもしれない。目標を達成するには制限的な金融政策スタンスが少なくとも一時的には必要になる可能性がある」とした。