[1日 ロイター] - <為替> ドル指数が20年ぶりの高値を更新したほか、ドル/円が1ドル=140円を突破し24年ぶりの高値を付けた。米経済の底堅さを示す経済指標を受け、連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて積極的に利上げを行う余地があるとの見方が広がった。
米労働省が1日に発表した週間新規失業保険申請件数(季節調整済み、8月27日までの週)は前週比5000件減の23万2000件と6月下旬以来2カ月ぶりの低水準に改善した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は24万8000件だった。
また、米供給管理協会(ISM)が1日に発表した8月の製造業景気指数は52.8と、7月から横ばいだった。雇用と新規受注が回復する中で堅調に推移した。物価上昇圧力が一段と緩和し、インフレがピークを越えた可能性が高いとの見方が強まった。
ドル指数は0.671%高の109.59。序盤には109.99と2002年6月以来の高値を付けた。
市場は2日に発表される8月の米雇用統計に注目している。堅調な内容となれば、安全資産であるドルの需要が高まる可能性がある。
ユーロ/ドルは0.99%安の0.9953ドルと再び等価(パリティ)割れ。ポンド/ドルは一時1.1501ドルと2年半ぶりの安値を更新。終盤は約0.69%安だった。
S&Pグローバルが1日発表した8月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6と、2カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回った。需要が低迷し、過去最高ペースで完成品在庫が積み上がっている。
ドル/円は一時140.23円まで上昇し、1998年以来の高値を付けた。終盤は0.81%高の140.095円。
JPモルガンのストラテジストは「日米金利差がなお主要なドライバーであり、きょうの値動きも米金利上昇に追随したものに過ぎない」と指摘。「今後の展開は米金利がどう動くかによるだろう」と述べた。
リスクに敏感な豪ドルやニュージーランド(NZ)ドルも売られ、7月以来の安値を付けた。
豪ドル/米ドルは0.89%安の0.67825米ドル、NZドル/米ドルは0.83%安の0.6069米ドルだった。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.17%安となり、2万ドルをやや下回った。
<債券> 不安定な値動きの中、国債利回りが急上昇。2日に発表される米雇用統計が堅調な内容となり、FRBの積極的な金融引き締め継続を正当化することが見込まれている。
指標10年債利回りは一時、13ベーシスポイント(bp)超上昇し、約2カ月ぶりの高水準となる3.26%に達した。
2年債利回りは15年ぶりの水準となる3.511%に上昇。5年債利回りも約12bp上昇の3.407%となった。
2年債と10年債の利回り格差の逆転はなお解消していないものの、この日はマイナス25.7bpに縮小した。
グレート・ヒル・キャピタルの会長兼マネジングメンバー、トーマス・ヘイズ氏は「雇用統計がかなり力強い結果になるというのがコンセンサスのようだ」とした上で、13日の米消費者物価指数(CPI)の発表まで、国債利回りの上昇が続くと予想した。
金利先物市場では、20━21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%ポイント利上げが実施される確率を75%と織り込んでいる。
10年物インフレ連動債(TIPS)利回りは6月半ば以来の高水準となる0.805%を付けた。5年物も0.867%と、2019年1月以来の高水準に達した。
TIPSと通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物は2.661%と、前週の2.9%から低下した。
<株式> S&P総合500種が5営業日ぶりに小反発した。2日に米雇用統計の発表を控える中、終盤にかけて買いが強まった。
この日発表された週間新規失業保険申請件数が減少し2カ月ぶりの低水準に改善したことなどを受け、株価はほぼ終始マイナス圏で推移していた。労働市場の強さを示す指標はFRBに利上げを継続する余地を与える。
労働市場に関するさらなる材料を得るために8月の雇用統計が注目される。ロイター調査によると、非農業部門雇用者数は30万人増加する見通し。
LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏はきょうの市場では雇用統計が焦点となったと指摘。「売られ過ぎている市場が上昇する、あるいは少なくとも売りが出ないためには雇用統計が特に賃金に関して弱い内容になることが必要だろう」と語った。
この日の上げはディフェンシブセクターが主導した。ヘルスケアは1.65%高、公益事業は1.42%高。
S&P500は一部のアナリストが主要支持線とみる3900の水準に近い3903.65まで下げた後に切り返した。
情報技術セクターは0.48%安。半導体株の下落が重しとなった。米当局が一部の人工知能(AI)向け主力半導体について中国への輸出停止を求めたことを受け、エヌビディアは7.67%、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は2.99%、それぞれ下落。フィラデルフィア半導体指数は1.92%安となった。
金利が上昇する中、企業決算への懸念も高まっている。食品大手ホーメル・フーズは通期利益見通しを下方修正、株価は6.56%値下がりした。
<金先物> FRBによる大幅利上げ継続への懸念を背景に5営業日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比16.90ドル(0.98%)安の1オンス=1709.30ドルと、7月20日以来の安値水準。
<米原油先物> 中国の景気減速懸念が強まる中、対ユーロでのドル高を背景に売り込まれ、3日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前日比2.94ドル(3.28%)安の1バレル=86.61ドルだった。11月物は2.81ドル安の86.22ドルとなった。
ドル/円 NY終値 140.20/140.21
始値 139.29
高値 140.22
安値 139.17
ユーロ/ドル NY終値 0.9944/0.9947
始値 1.0017
高値 1.0021
安値 0.9912
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 93*05.00 3.3643%
前営業日終値 95*04.50 3.2550%
10年債(指標銘柄) 17時05分 95*22.50 3.2590%
前営業日終値 96*24.00 3.1320%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*23.25 3.4044%
前営業日終値 99*08.50 3.2860%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.63 3.5178%
前営業日終値 99*19.75 3.4500%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 31656.42 +145.99 +0.46
前営業日終値 31510.43
ナスダック総合 11785.13 -31.08 -0.26
前営業日終値 11816.20
S&P総合500種 3966.85 +11.85 +0.30
前営業日終値 3955.00
COMEX金 12月限 1709.3 ‐16.9
前営業日終値 1726.2
COMEX銀 12月限 1766.6 ‐21.6
前営業日終値 1788.2
北海ブレント 11月限 92.36 ‐3.28
前営業日終値 95.64
米WTI先物 10月限 86.61 ‐2.94
前営業日終値 89.55
CRB商品指数 284.6161 ‐5.7895
前営業日終値 290.4056