[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21─22日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ4.75─5.00%とした。決定は全会一致。ただ、米銀2行の経営破綻を受け金融市場が混乱する中、利上げが近く一時停止される可能性があることを示唆した。
FRBが公表した最新の金利・経済見通しによると、政策当局者はインフレを抑制するために今年あと1回の利上げが必要と想定。2023年末の政策金利の予想中央値は5.1%と昨年12月時から変わらなかった。
ただ、シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンクの突然の破綻を受け、FRBはFOMC声明から「継続的な」利上げが適切との文言を削除。FRBはこの文言を今回の利上げサイクルを開始した22年3月16日から声明に含めていた。
代わりに「幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれない」との文言を採用。あと1回の0.25%ポイントの利上げ後は、利上げがいったん停止される可能性があることが示唆された。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、金融システム不安に言及。「この問題がどれだけ深刻で持続的かを検証する」と説明。「マクロ経済に重大な影響を及ぼす可能性は十分にあり、それを政策に踏まえることになる」と述べた。
「金融環境は引き締まったようで、従来型の指数が示すよりおそらく引き締まっている。指数は融資状況を必ずしも捉えていないからだ」と述べた。引き締まりの程度に注目しているとした。
一方で、米金融システムの安定性について繰り返し自信を表明した。「過去1週間で預金の流れは安定化した」とし、SVBの破綻は経営が「ひどく失敗」していたことが原因で、銀行部門の全般的な脆弱性を示すものではないと強調した。
FRBには「安全で健全な銀行システムを維持するために、必要に応じてあらゆる手段を用いる用意がある」と述べた。インフレ率を2%に引き下げることに引き続き強くコミットするとも語った。
<年内の利下げ見込まず>
米国債利回りはFOMCの結果を受けて低下。金利見通しを敏感に反映しやすい2年債利回りは一時21ベーシスポイント(bp)余り低下した。
米株はFOMCの結果発表直後に急上昇したものの、その後は下落に転じて大幅安で終了した。
金融市場はFRBが今回の利上げを最後に一時停止し、今夏までに利下げを開始するシナリオを織り込んでいる。
ただ、パウエル氏は年内の利下げについて「基本シナリオの想定ではない」と言明。「重要なことはインフレ率を2%に引き下げるのに十分な引き締め政策を取ることだ」と強調し、引き締めは利上げだけでなく、金融環境の引き締まりによってももたらされる可能性があるとした。
<物価・経済見通し>
FOMC声明は物価情勢について「インフレ率は引き続き高止まりしている」と指摘。前回の声明では「インフレ率は幾分和らいだが、引き続き高止まりしている」としていた。
労働市場については「雇用の伸びはここ数カ月間で上向き、堅調なペースで進んでいる」とした。
最新の金利・経済見通しによると、個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが23年第4・四半期に3.3%に鈍化すると予想。FRBの2%目標への進展は12月時の見通しより鈍化すると見込んだ。
現在3.6%の失業率は23年第4・四半期に4.5%、24年に4.6%に上昇すると想定。12月時は今年4.6%への上昇が見込まれていた。
23年の経済成長率の見通し中央値は0.4%。12月時は0.5%だった。24年については1.6%から1.2%に引き下げられた。
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